八木重二郎

八木重二郎：日本の高速道路改革を担った実業家

八木重二郎（やぎ じゅうじろう）は、1942年7月12日生まれの実業家です。新日本製鐵（現日本製鉄）の代表取締役副社長を経て、初代東日本高速道路株式会社（NEXCO東日本）の代表取締役会長を務めました。彼のキャリアは、日本の高度経済成長期を支えた鉄鋼業界から、社会インフラである高速道路へと展開し、その変革に大きく貢献しました。

生い立ちと新日本製鐵での活躍

山口県山口市出身の八木は、山口県立山口高等学校を経て、1965年に一橋大学商学部を卒業しました。同年に八幡製鐵（新日本製鐵の前身）に入社し、そのキャリアをスタートさせました。八幡製鐵では、経営企画や総務といった管理部門を中心に経験を積み、エンジニアリング本部長などの要職を歴任しました。1999年には新日本製鐵の常務取締役に昇進、2001年にはエンジニアリング事業本部副本部長、2003年には代表取締役副社長兼エンジニアリング事業本部長に就任し、その経営手腕を発揮しました。2005年には取締役（社長付）となり、新日本製鐵の中枢で活躍しました。

東日本高速道路会長としての挑戦

2005年、八木は高速道路株式会社法の施行に伴い、新たに設立された東日本高速道路株式会社の初代代表取締役会長に就任しました。これは、旧日本道路公団の民営化という大きな変革期における重要な人事でした。会長として、八木は旧道路公団のファミリー企業の子会社化・整理・再編、談合防止策の徹底、企業会計制度の導入など、組織の抜本的な改革を主導しました。

さらに、サービスエリア（SA）やパーキングエリア（PA）の開発にも力を注ぎました。単なる休憩施設ではなく、地域に貢献し、利用者が楽しめる空間を目指し、商業施設「Pasar（パサール）」をプロデュースしました。2008年には幕張PAに1号店「Pasar幕張」を開業、その後2009年には羽生PAに2号店「Pasar羽生」、三芳PAに3号店「Pasar三芳」をオープンさせ、高速道路のイメージを一新しました。これらの取り組みは、高速道路利用者に快適な休憩環境を提供するとともに、地域経済の活性化にも貢献しました。

高速道路無料化への提言とその後

2009年、民主党が政権公約に掲げた高速道路無料化政策に対し、八木は道路の維持管理費用の確保に対する疑問を呈しました。この発言は、当時の社会情勢において大きな議論を呼びました。その後、政権交代により鳩山由紀夫内閣が成立し、八木は2010年に東日本高速道路会長を退任しました。退任後は、2010年11月から2011年6月まで非常勤顧問を務めました。

退任後の活動

東日本高速道路を退任後も、八木は多岐にわたる分野で活動を続けています。2011年7月には公益財団法人防長倶楽部の理事長に就任し、地域社会の発展に貢献しています。また、2013年9月には一般財団法人産業遺産国民会議の代表理事に就任し、日本の産業遺産の保全と活用にも尽力しています。さらに、山口七夕会の会長も務めるなど、地域文化の振興にも積極的に取り組んでいます。

八木重二郎は、鉄鋼業界から高速道路業界へと、そのキャリアを通じて日本の社会インフラを支え、改革を推進してきた人物です。彼の活動は、単なる経営者としての手腕にとどまらず、社会全体の発展に貢献するものであり、その功績は今日においても高く評価されています。

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