八百津大橋

八百津大橋

八百津大橋（やおつおおはし）は、岐阜県加茂郡八百津町に架かる、木曽川を跨ぐ重要な橋梁です。具体的には、八百津町内の錦織地区と八百津中心部を結んでおり、岐阜県道358号井尻八百津線の一部を構成しています。この橋は、地域住民の生活や経済活動を支える基盤として、日々多くの交通を捌いています。

橋の構造と技術的特徴

八百津大橋は、その構造において特徴的な設計が採用されています。主体部分は、上部に橋桁が配置される「上路式」と呼ばれる形式の、鋼製3径間連続平行弦ワーレントラス橋です。トラス橋とは、部材を三角形に組み合わせて強度を高めた構造で、比較的長い距離を少ない自重で支えることが可能です。この橋の場合、3つの径間が連続しており、それぞれの径間長は等しく62.3メートルとなっています。トラス構造部の両端には、さらに2連の鋼単純鈑桁橋が接続されており、橋全体の長さ（橋長）は合計238メートルに及びます。

橋を構成する主要な諸元は以下の通りです。

形式: 鋼3径間連続上路平行弦ワーレントラス橋 + 鋼単純鈑桁橋2連
橋長: 238メートル
トラス部支間割: 62.3メートル + 62.3メートル + 62.3メートル
有効幅員: 6.0メートル（車両や歩行者が通行できる部分の幅）
総鋼重: 265トン（橋に使用されている鋼材の総重量）
床版: 鉄筋コンクリート製（橋の路面を形成する部分）
* 施工者: 日本鋼管（建設を担当した企業。現在のJFEエンジニアリングなどにつながる）

有効幅員6.0メートルは、現在の主要幹線道路と比べると決して広くはありませんが、地域の交通量に対して効率的な設計がなされています。また、床版が鉄筋コンクリート製であることは、耐久性や走行性に関わる重要な要素です。

歴史的な背景

八百津大橋が現在の位置に架けられるより以前、この橋の上流側には「錦織橋」と呼ばれる吊橋が存在していました。錦織橋は全長148メートル、幅員わずか1.5メートルという、主に歩行者や軽車両向けの橋であったと考えられます。地域の重要な交通路として利用されていましたが、1983年（昭和58年）9月29日にこの地域を襲った集中豪雨により、惜しくも流失してしまいました。災害からの復旧にあたり、錦織橋は再建されることなく廃止が決定され、それに代わる、より堅牢で近代的な橋梁として八百津大橋が建設されたと考えられます。現在でも、かつての錦織橋が架かっていた場所の川岸には、当時の吊橋の主塔の一部が名残として残されており、地域の歴史を静かに物語っています。

地域文化との結びつき

八百津大橋は、交通インフラとしての役割だけでなく、地域の伝統文化とも深く結びついています。毎年秋に行われる「八百津だんじり祭」（大舩神社例祭）では、祭りのクライマックスに向けて、町内を練り歩く色鮮やかな「だんじり」のうち3両が、この八百津大橋を渡る巡行路が設定されています。八百津のだんじりは、3両が連結されるとあたかも一隻の大きな船のような形を成すことが特徴です。祭礼時には、多くの観客が見守る中、このユニークな船形のだんじりが連なって八百津大橋の上を進む姿を見ることができ、橋が祭りの舞台の一部となる、地域ならではの光景が広がります。このように、八百津大橋は単なる交通路としてだけでなく、地域の歴史を継承し、文化を育む場としても重要な役割を果たしています。

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