八紘之基柱

八紘之基柱（平和の塔）

八紘之基柱、現在は平和の塔と呼ばれるこの建物は、宮崎県宮崎市の平和台公園に立っています。塔の正面には「八紘一宇」という文字が刻まれており、このため「八紘一宇の塔」とも称されます。この塔には、歴史的な背景が多く存在し、国民にとっての意義も深いものとなっています。

歴史

建造の背景

1940年、神武天皇の即位紀元2600年を祝うために、国は紀元二千六百年奉祝事業を開始しました。宮崎県もこの事業に参加し、「紀元二千六百年宮崎県奉祝会」を設立しました。当時の知事である相川勝六は、日本を象徴する塔の建設を提案しました。その実現のために、彫刻家の日名子実三が選ばれました。日名子は、「報酬は不要」としてデザインに取り組む意欲を示しました。

相川知事の指示で、日名子は宮崎県内を巡りながらインスピレーションを得ました。その結果、塔のデザインには、宮崎神宮での御幣を参考にした盾の形状が採用されました。最初は神武天皇に関連する「皇宮屋」が建設候補地とされましたが、最終的には北部の台地が選ばれました。

1939年3月に塔の模型が完成し、1939年5月20日から工事が始まりました。約6万人の労働者が協力し、1940年11月25日に高松宮宣仁親王を迎え、淡々とした落成式が行われました。

戦後の変化

戦後の1946年、連合国軍総司令部（GHQ）の命令により、「八紘一宇」の碑文や荒御魂像が撤去されました。また、塔内部にあった秩父宮雍仁親王の揮毫も撤去対象となりましたが、宮崎県職員によって密かに運び出され、宮崎神宮に隠されました。その後、1957年に塔は「平和の塔」と改名され、一時期はロッククライミングの場所として荒れ果てました。

1962年には荒御魂像、1965年には「八紘一宇」の文字が復元されました。その復元を支援した岩切章太郎県観光協会会長は、政治的な抗議があったものの、日名子の作品であることを理由に復元を続けました。また、1964年の東京オリンピックでは、聖火リレーのスタート地点となり、平和の象徴としての地位を確立しました。

構造

塔の正面には「八紘一宇」の文字があり、四方には信楽焼で作られた四神像が配置されています。これには武人の象徴である荒御魂、商工人の和御魂、農耕人の幸御魂、漁人の奇御魂が含まれています。

塔内部は空洞で、特別な「厳室」と称される空間があります。この厳室の入口には、神武天皇が美々津から出航する場面が彫刻されている青銅の扉があります。厳室内には、秩父宮の真筆による「八紘一宇」が安置されており、日名子による8つのレリーフが展示されています。ただし、これらは劣化しやすく、厳室は通常一般公開されていません。

塔の高さは36.4メートルで、約1,789個の切石が礎石として使用されています。この切石の多くは、中国との戦闘中に奪取された名勝の石です。

おわりに

八紘之基柱は単なる塔ではなく、歴史的背景と文化的な意味を持つ重要な施設です。平和の重要性が再認識される現代において、この塔の存在は貴重であり、多くの人々にとって特別なシンボルとなっています。

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