公共交通指向型開発

公共交通指向型（都市）開発（TOD）とは

公共交通指向型（都市）開発、通称TOD（Transit-Oriented Development）は、公共交通機関を中心に据えた都市開発の手法です。このアプローチは、自動車への依存を減少させ、持続可能な社会を実現しようとするものです。この考え方は、都市計画家のピーター・カルソープによって提唱されました。

TODの特徴

TODは、過度な自動車依存からの転換を目指しております。これにより、都市の中心部や鉄道駅周辺に商業施設を集中的に設置し、郊外においては鉄道駅周辺に計画的に住宅地を造成することが推奨されます。また、パークアンドライドの実施に向けた駐車場の整備も重要な要素となります。このように、ニューアーバニズムに基づいた主体的な都市開発が求められているのです。

日本における事例

日本では、阪急電鉄や東急電鉄などの鉄道会社がターミナル駅周辺の商業化や、私鉄沿線の宅地開発を行い、公共交通指向型の開発を進めてきました。特に、戦前から私鉄による沿線開発が行われており、これはアメリカのインターアーバンにおける取り組みを受け継いだものとされています。その結果、鉄道会社による民間企業の参与が特色となっています。

東京では、80%ほどの住民が公共交通に依存しているとされており、その交通体系は世界的にも注目されています。一方で、首都圏や京阪神地域以外では、地方自治体が自動車道路の整備に重きを置いたため、公共交通が衰退し、自動車中心のまちづくりに対する反省が進んでいます。このように、地域による状況が異なり、交通インフラの整備が不十分な地方では、自動車偏重の傾向が問題視されています。

まとめ

公共交通指向型開発は、自動車依存から脱却し、持続可能な社会を目指すための重要な手法です。特に日本では、鉄道会社が中心となって都市開発を進めており、都市の交通体系に大きな影響を与えています。今後も、地域ごとの特性を考慮しながら、公共交通の整備と統合的な都市開発が求められることでしょう。

参考文献

• - 家田仁、岡並木、国際交通安全学会・都市と交通研究グループ著『都市再生―交通学からの解答』、学芸出版社、2002年7月

関連項目

• - 交通工学
• - コンパクトシティ
• - ニューアーバニズム
• - アーバンビレッジ

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