公募隊

登山における公募隊とは

登山における公募隊とは、登山者を広く募り、エベレストなどの高峰を目指す登山隊のことです。商業隊、商業公募隊と呼ばれることもあります。「誰でも参加できる」というイメージを持たれがちですが、実際には様々な側面があります。

背景

1990年代前半までの公募隊は、登山隊などの組織に縛られない個人が、登山料や資材運搬費を分担するために結成する互助会のようなものでした。しかし、1990年代後半以降、ベテランガイドが商業目的で組織するツアー形式の隊が主流となりました。

公募隊のメリット

公募隊のメリットは、入山料の支払いから、現地シェルパの雇用、物資の調達など、登頂に必要な準備や手配を主催者が一括して行う点です。これにより、所属組織の規模、年齢、性別、経験に関わらず、高峰へのアクセスが可能になりました（ツアー代金によって内容は異なります）。

公募隊のデメリット

一方で、デメリットも存在します。隊員同士の言語や技量が異なるため、高山での意思疎通が難しい場合があります。参加者は登頂資格を有していることが前提ですが、登山技量が十分でない参加者もいるため、スケジュールが過密になることがあります。また、多数の公募隊が同時に活動することで、登山者の渋滞が発生し、行動時間の浪費、酸素の消費、天候の急変への対応の遅れなど、致命的なアクシデントのリスクが高まる可能性もあります。

参加への注意

2000年代以降、日本語のホームページでエベレストへのツアーを募集する会社が増えています。数百万円を支払えば、登山に関するサポートと登頂の資格が得られるため、「観光ツアー」のような印象を受けるかもしれません。しかし、エベレストに整備された登山道はなく、雪中行軍、岩壁の登攀、高山病への適応など、高いレベルの登山技術が求められる状況は変わっていません。

エベレストの標高8000m以上の高地には、回収されない登山家の遺体が多数存在します。1996年にはエベレスト大量遭難と呼ばれる事故が発生し、2つの商業登山パーティーから8名の死者が出ています。日本人女性登山家の難波康子もこの事故で亡くなりました。

公募隊への参加は、手軽に高峰を目指せる手段ではありますが、相応のリスクが伴うことを理解し、十分な準備と自己責任の意識を持つことが重要です。

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