公卿補任

公卿補任について

日本の歴史において重要な役割を果たしている『公卿補任』は、歴代の高官を列挙した職員録であり、特に平安時代から明治時代に至るまでの官職情報を詳細に記録しています。この文書は、従三位以上の太政大臣や摂政、関白など、いわゆる公卿に関連する者たちの名前を時系列にまとめており、各人の本姓や生没年、昇叙・任官の事歴をともに示しています。

構成と特徴

『公卿補任』は、各年の朝廷における官職を網羅しており、公卿に相当する者の名前を職位順に記載しています。興味深い点は、藤原氏などの名が略称で記載されることで、歴史的な記録の中でのその名の位置付けが伝わる点です。また、記載された人々の履歴には升叙や任官に関する情報が含まれているため、任官に関する包括的な資料とも言えます。

この書物は、神武天皇の代から明治元年に至るまでの歴代の公卿をカバーしているため、特に日本の官制や位階制度の変遷を理解する上で非常に価値があります。しかし、平安時代前期の記事には不正確な部分が見受けられることもあります。そのため、政治的な背景や記録の修正が施された可能性も考慮する必要があります。

成立時期と著者

『公卿補任』の具体的な成立時期や作者については不明ですが、弘仁2年（811年）に成立した歴運記を下敷きにしてその後補足されていったと考えられています。後の時代において10世紀後半頃に整った形になったとされ、長和以後には非参議に関する情報も追加されていると見られています。このように、時間をかけて進化し続けた文書であることがわかります。

収蔵と引用

『公卿補任』は『国史大系』というシリーズに収められており、現代の学者たちにとっても容易に参照できるようになっています。特に、吉川弘文館から出版された新訂増補版の各巻（第53巻から第57巻まで）には詳細な情報が記載されており、それぞれの巻に編纂会が監修しています。これにより、より詳細な研究が行いやすくなっています。

関連資料と参考

公卿補任に関連する資料として、近年では国会図書館デジタルコレクションも利用可能であり、前編や中編、後編がそれぞれデジタル化されています。また、特定の期間を分けて公卿の情報を簡単にアクセスできるクイックアクセス機能も用意されているため、研究者や歴史愛好者にとって便利なリソースとなっています。

このような背景から、『公卿補任』は日本の官制や歴史を知るための必須資料であり、その内容は歴史学の重要な研究分野に位置付けられています。

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