国史大系

『国史大系』は、日本史の研究に欠かせない古典籍を集成した叢書です。その編纂は、明治時代から昭和時代にかけて3度にわたり行われました。各時代の研究者たちが、原典の校訂に尽力し、今日まで貴重な史料を提供し続けています。

第1次：国史大系・続国史大系

明治30年（1897年）から明治37年（1904年）にかけて、経済雑誌社によって刊行されました。田口卯吉が編集を担当し、黒板勝美が主に校訂にあたりました。この時期には、『日本書紀』や『続日本紀』など、歴史書を中心に計32冊が刊行されました。

国史大系（全17冊）

1. 日本書紀
2. 続日本紀
3. 日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録
4. 日本三代実録
5. 日本紀略
6. 日本逸史、扶桑略記
7. 古事記、先代旧事本紀、神道五部書、釈日本紀
8. 本朝世紀
9. 公卿補任 前編
10. 公卿補任 中編
11. 公卿補任 後編
12. 令義解、類聚三代格、類聚符宣抄、続左丞抄
13. 延暦交替式、貞観交替式、延喜交替式、延喜式
14. 百錬抄、愚管抄、元亨釈書
15. 古事談、古今著聞集、十訓抄、栄華物語
16. 今昔物語集
17. 宇治拾遺物語、水鏡、大鏡、今鏡、増鏡

続国史大系（全15冊）

1. 続史愚抄 巻1-28
2. 続史愚抄 巻29-54
3. 続史愚抄 巻55-81
4. 吾妻鏡 巻1-26
5. 吾妻鏡 巻27-52 ※ 附録（宗尊親王鎌倉御下向記・建長四年政所始次第・関東開闢皇代并年代記・武家年代記）
6. 後鑑 巻1-102
7. 後鑑 巻103-219
8. 後鑑 巻220-367
9. 徳川実紀
10. 徳川実紀
11. 徳川実紀
12. 徳川実紀
13. 徳川実紀
14. 徳川実紀
15. 徳川実紀

第2次：国史大系六国史・国史大系類聚国史

大正2年（1913年）から大正5年（1916年）にかけて、経済雑誌社から刊行されました。黒板勝美が、既刊の国史大系の六国史を再校訂し、新たに『類聚国史』を加えて刊行しました。この時期には、計5冊が刊行されました。

1. 日本書紀
2. 続日本紀
3. 日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録
4. 日本三代実録
5. 類聚国史

第3次：新訂増補国史大系

昭和4年（1929年）から昭和39年（1964年）にかけて、吉川弘文館から全66冊が刊行されました。黒板勝美が編集し、丸山二郎らが校訂にあたりました。黒板の病により、昭和11年（1936年）には、丸山二郎・黒板昌夫・坂本太郎らが「大系編修会」を発足させ、刊行事業を継続しました。完結した昭和39年には、編纂事業の代表者であった丸山二郎に朝日文化賞が贈られています。

この時期には、昭和後期から平成にかけて、新訂増補・普及版が度々刊行され、平成10年（1998年）と平成14年（2002年）には、全巻が一斉復刊されました。さらに、平成19年（2007年）8月には、全巻オンデマンド版が刊行されています。

校訂担当者は長年、公表されていませんでしたが、『国史大系書目解題』下巻（吉川弘文館、平成13年〈2001年〉）の刊行によって、初めて公表されました。

新訂増補国史大系（全66冊）

1. 日本書紀（上・下）
2. 続日本紀
3. 日本後紀・続日本後紀・日本文徳天皇実録
4. 日本三代実録
5・6. 類聚国史
7. 古事記・先代旧事本紀・神道五部書
8. 日本書紀私記・釈日本紀・日本逸史
9. 本朝世紀
10. 日本紀略（前篇）
11. 日本紀略（後篇）・百錬抄
12. 扶桑略記・帝王編年記
13-15. 続史愚抄
16・17. 今昔物語集
18. 宇治拾遺物語・古事談・十訓抄
19. 古今著聞集・愚管抄
20. 栄花物語
21. 上：水鏡・大鏡
21. 下：今鏡・増鏡
22. 律・令義解
23・24. 令集解
25. 類聚三代格・弘仁格抄
26. 交替式（延暦交替式・貞観交替式・延喜交替式）・弘仁式・延喜式
27. 新抄格勅符抄・法曹類林・類聚符宣抄・続左丞抄・別聚符宣抄
28. 政事要略
29. 上：朝野群載
29. 下：本朝文粋・本朝続文粋
30. 本朝文集
31. 日本高僧伝要文抄・元亨釈書
32・33. 吾妻鏡
34-37. 後鑑
38-47. 徳川実紀
48-52. 続徳川実紀
53-57. 公卿補任
58-60. 尊卑分脈（60のみ上・下で全4巻）

別巻

1. 公卿補任索引
2. 尊卑分脈索引

『国史大系』は、長年にわたり多くの研究者によって校訂が重ねられ、日本史研究の基礎資料として、その価値は揺るぎないものとなっています。収録された史料は多岐にわたり、古代から近世に至る日本の歴史を学ぶ上で、欠かせない存在です。

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