公文書館法

公文書館法について

公文書館法（昭和62年法律第115号）は、日本の公文書館に関する基本的な事項を定めた法律です。この法律は、国や地方公共団体が保有する公文書などの記録を適切に保存し、国民が利用できるようにすることを目的としています。

概要

公文書館法は、以下の点を主な内容としています。

目的: 公文書等の適切な保存と利用を促進し、行政の透明性を高めること。
責務: 国や地方公共団体は、公文書等の保存と利用に関して適切な措置を講じる責任がある。
公文書館: 公文書館の設置や運営、機能について定める。
資金: 公文書館の運営に必要な資金の融通など。
技術指導: 公文書館の専門性を高めるための技術指導。

主務官庁

公文書館法を所管する主務官庁は、内閣府大臣官房公文書管理課です。2001年の中央省庁再編以前は総理府が所管していました。また、2011年に公文書管理課が新設される以前は、総務課が担当していました。

法律の構成

公文書館法は、以下の条文で構成されています。

第一条 - 目的
第二条 - 定義
第三条 - 責務
第四条から第五条 - 公文書館
第六条 - 資金の融通等
第七条 - 技術上の指導等

成立の背景

公文書館法は、議員立法として成立しました。中心となって推進したのは、元茨城県知事で参議院議員の岩上二郎です。岩上は、歴史的文書の重要性を強く認識しており、その信念がこの法律の成立につながりました。

当初、岩上は政府案としての提出を目指しましたが、関係省庁の反応は消極的でした。そのため、岩上は議員立法として成立させる方針に切り替えました。自民党の「文化振興に関する特別委員会」委員長に就任し、中曽根康弘首相（当時）の支援も得て、法案作成や与野党協議を進めました。

その結果、与野党協議でまとまった法案は、1987年12月8日に参議院内閣委員会で可決され、翌日には参議院本会議で全会一致で可決されました。その後、衆議院でも迅速に審議され、12月10日に衆議院本会議でも全会一致で可決、成立しました。公布は12月15日でした。

法律の意義

公文書館法の成立は、日本の公文書管理において大きな転換点となりました。それまで体系的な保存体制が整っていなかった公文書の適切な管理を制度的に担保し、歴史資料としての価値を社会全体で共有するという意識を高めました。公文書館法の制定は、その後の公文書管理の進展に大きな影響を与えました。

関連情報

関連項目

公文書館
国立公文書館
岩上二郎
公文書等の管理に関する法律

外部リンク

小島和夫「公文書館法の成立過程(北大立法過程研究会資料)〔含 質疑応答・資料〕」『北大法学論集』第41巻第1号、北海道大学法学部、1990年11月、227-245頁、ISSN 03855953、NAID 120000956949。

この法律は、国民の知る権利を保障し、民主主義の発展に不可欠なものです。公文書館の適切な運営を通じて、行政の透明性を高め、歴史の教訓を次世代に継承していくことが求められます。

もう一度検索