レッドパージ

レッドパージとは

レッドパージ（赤狩り）は、第二次世界大戦後の日本において、連合国軍の指導のもとに行われた共産党員及びその支持者の職業追放運動を指します。この運動は、アメリカのGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）による指導の下、1945年から始まり、1万を超える人々が公職や民間企業から解雇されました。レッドパージは、日本国内における共産主義の活動が活発化する中で、「共産主義者の排除」という目的で進められました。

背景

日本がGHQによって占領されていた際、戦後の民主化政策が展開されました。GHQは治安維持法を廃止し、特別高等警察の解体を進めるなど、自由な社会を目指しました。その結果、再建された日本共産党のメンバーが合法的に活動を始めると、労働運動が高まり、数多くのストライキやデモが発生しました。この情勢に対する恐れから、GHQは共産主義の台頭を抑え込む方針に転換します。

1949年7月、民間情報教育局のウォルター・クロスビー・イールズが「共産主義の教授は大学を去るべき」との演説を行い、これが波及しました。翌年には、マッカーサーが日本共産党の行動を制限する意向を表明し、実際に数人の幹部が公職追放される決定が下されました。特に、6月には日本共産党幹部に対して公職追放の指令が出され、その後、多くのメディアや企業が共産主義との関係を理由に社員を解雇しました。

解雇の実態

1950年7月28日から、日本でのレッドパージが本格化します。報道機関では朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、NHKなど多くが共産党員やその支持者を解雇しました。また、映画業界でも多くの著名な映画監督や俳優が対象になり、特に東宝では東宝争議を口実にして解雇が進められました。

この流れに沿って、9月には政府が正式に日共系の追放を決定します。ただし、銀行業界など一部業界では抵抗が見られ、解雇が最小限に留まるケースもありました。一方で、日本共産党自体は内部に分裂を抱えており、組織的な抵抗は薄い状態でした。

法的側面

1952年のサンフランシスコ平和条約により、レッドパージによる公職追放の指令が解除されましたが、追放された多くの人々は職場復帰することができず、再就職に影響を及ぼすという不利益を被りました。特に、「レッドパージを受けた」という事実が大きな障害となりました。

その後の裁判では、GHQによる指導が「超憲法的な措置」として支持され、原告は敗訴する結果となりました。これに対する抗議も日本共産党から発表されましたが、日本国内における共産主義者の抑圧は続きました。

現代における評価

レッドパージは日本の戦後史において大きな影を落とし、思想や言論の自由に対する制限として記憶されています。2000年代に入ってからも、レッドパージの影響を受けた人々が人権救済を求める動きがあり、法律的な議論も継続しています。このように、レッドパージは日本における共産主義の排除をめぐる一連の動きとして、今でも注目されています。

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