公開空地

公開空地とは

公開空地とは、1971年に創設された総合設計制度に基づいて設置されるオープンスペースの一種です。開発プロジェクトの対象敷地内に設けられた空地のうち、一般に開放され、誰もが自由に通行・利用できる区域を指します。

概要

公開空地として認められるためには、以下の条件が求められます。

歩行者が日常的に自由に通行・利用できること
広く一般に開放されていること
環境を向上させる植栽、芝生、池などが含まれていることが望ましい
道路との間に遮断物を設けず、周辺環境との調和に努めること

営利目的の施設を長期間にわたって設置することはできませんが、イベントなど一時的な利用は可能です。

つなぎ空間としての役割

公開空地は、都市空間における建築物と建築物の間、住宅地における敷地と建物の間といった空間的な繋がりを意味する「つなぎ空間」としての役割も担います。都市空間では公園として利用されることが多いですが、道路、広場、庭、アプローチ、コモンスペースなども含まれます。

インセンティブゾーニングとの関連

アメリカでは、開発を促進するための地域制度としてインセンティブゾーニングが導入されています。地方行政がゾーニング税制を緩和することで開発者に利益を与える代わりに、公開空地の確保、公共施設の整備、歴史的建造物の保全などの公益的な貢献を求める手法です。

日本の総合設計制度における公開空地の確保も、このインセンティブゾーニングの一例と言えます。東京駅周辺の容積権移転や歩行者道路の整備による緩和措置なども同様の考え方に基づいています。

新宿副都心における公開空地

1970年代以降、新宿副都心の都市開発に伴い、超高層建築物の建設が進められました。高層建築物のエントランス周辺は、通勤時のピーク時に人口が集中するため、十分な緩衝空間としてのオープンスペースが必要とされました。そのため、各ビルの足元には行政指導による公開空地が設けられ、人々に憩いの場を提供する役割を果たしました。

新宿三井ビルの三井55広場は、サンクンガーデンとして囲まれた空間を創出し、ケヤキの緑陰や滝などがくつろぎをもたらします。テーブルやベンチも設置され、飲食も可能です。その他、雑木林風の京王プラザホテル、緑陰の中に丸いベンチが配置された新宿野村ビル、建築内部の空間であるNSビルアトリウム、新宿住友ビルなど、各ビルの足元には工夫を凝らした公開空地が設けられています。

ランドスケープデザインの重要性

建築物が建っていない敷地の部分はエクステリアと呼ばれます。エクステリアのデザインは、広大な庭園から、ほとんどスペースのない状態まで様々です。日本では、エクステリアの場所をランドスケープ、そのデザインをランドスケープデザインと呼ぶようになって数十年です。

アメリカから導入されたランドスケープという概念には、「ランドスケープデザインとは、パブリックスペースのデザインである」という考え方が含まれています。特にマンションやビルなどのエクステリアは、建築と都市との接点であり、社会性を持つと考えられています。公共空間である道路や広場に対し、エクステリアは私有地でありながら公共的な空間としての側面を持つため、視覚的、動線的、機能的に社会に向けてデザインされるべきであるという考え方が広まっています。

今日では、建物とその所有者、設計者の社会に対する姿勢を空間のデザインから読み取ろうとする見方が一般的になり、エクステリアよりもランドスケープという用語が使用されるようになっています。

まとめ

公開空地は、都市における貴重なオープンスペースであり、人々に憩いの場を提供するだけでなく、都市の景観や環境を向上させる役割も担っています。また、建築物と都市空間をつなぐ重要な要素として、ランドスケープデザインの視点からも注目されています。

関連項目

空地
歩行者専用[[道路]]

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