六集 (増支部)

六集（ろくしゅう）

六集（ろくしゅう、巴: Chakka-nipāta）は、パーリ語の仏典の中で重要な経典の一つで、増支部の第6集を指します。この経典は、仏教における教えや実践についての貴重な情報を提供しています。

構成内容

六集は、全体で13の品から成り、合計649の経文が収められています。各品は特定のテーマを持ち、異なる教えを展開しています。以下では、各品の概要を見ていきましょう。

初の五十

最初の50の経文は、以下の5つの品に分類されています：

1. 応請品（Āhuneyya-vaggo）
- この品では、仏陀の教えを受け取ることの重要性や、受け入れるべき心構えについて述べています。実践者が感謝の念を持つことが強調されています。

2. 可念品（Sāraṇīya-vaggo）
- 念じるべき教えや、心を留めるべき対象について触れています。特に、瞑想や精神の集中の技術が含まれています。

3. 無上品（Anuttariya-vaggo）
- これは、最も尊い教えを含む品であり、仏教の究極的な目標への道筋が示されています。

4. 天品（Devatā-vaggo）
- 天界の存在に関する教えが語られ、物質的な世界だけでなく、精神的な領域の重要性についても触れています。

5. 曇弥品（Dhammika-vaggo）
- 倫理や道德に関連する教えを中心に、社会での行動規範や信仰の重要性が強調されています。

第二の五十

次に第二の50の経文は、以下のように構成されています：

6. 大品（Mahā-vaggo）
- 重要な教訓や法則について広範な解説が行われ、実践者にとっての指針が示されています。

7. 天神品（Devatā-vaggo）
- 天神の役割や教えについての考察が含まれ、神々との関係についても説明されています。

8. 阿羅漢果品（Arahatta-vaggo）
- 阿羅漢の果実に関する教えが述べられ、精神的な達成について詳解されています。

9. 清涼品（Sīti-vaggo）
- 心の涼しさ、すなわち内面的な平和についての教えを中心に展開されます。

10. 勝利品（Ānisaṃsa-vaggo）
- 精神的勝利や成功についての教えが主題で、達成感や満足感の本質が探求されています。

5十所不摂品

最後に、残りの3つの品が「五十所不摂品」と呼ばれます：

11. 三法品（Tika-vaggo）
- 仏教の基礎的な教義である三つの法（仏、法、僧）について書かれています。

12. 沙門品（Sāmañña-vaggo）
- 出家者としての生き方や修行の意義についての教えが述べられています。

13. 貪品（Rāga-peyyālaṃ）
- 貪欲に関する教えが展開され、その克服方法について道筋が示されています。この品には多くの例が含まれ、実践者への実用的な指南が与えられています。

日本語訳

六集の日本語訳は『南伝大蔵経・経蔵・増支部経典4』（第20巻）として大蔵出版から出版されています。この翻訳は、現代の読者にも理解しやすい形で仏教の教えを伝えています。

意義

六集は、仏教の教えを体系的に学ぶ上で非常に重要な資料であり、経典の中でも特に多くの経文を収めている点が特徴です。これにより、広範な教えへのアクセスが可能となり、仏教に興味を持つ人々にとって貴重なリソースとなっています。

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