共同汽船

共同汽船株式会社の歴史と展開

共同汽船株式会社は、かつて兵庫県神戸市に本社を置いた海運会社です。1887年に徳島の藍商人たちによって設立された阿波国共同汽船株式会社を前身とし、1968年に現在の名称に改称されました。この会社は、特に徳島と大阪との間に航路を展開し、藍を運ぶことで事業が成り立っていました。

沿革

最初に「阿波国共同汽船」として設立されたこの会社は、大阪 - 徳島間の海運が大阪商船の独占により高い運賃がかかる中、より適正な運賃で藍を運ぶために設立されました。初めて運航した船舶は「太陽丸」で、87トンのその船は徳島 - 大阪航路に就航しました。その後、藍の運送が一応の収束を見せると、会社は「阿波国共同鉄道」を設立し、徳島の鉄道網を拡充させる役割を果たしました。

1913年には徳島 - 小松島間の鉄道が開通し、その結果、鉄道と海運の連携が強化され、さらなる発展を遂げました。その後、阿波国共同汽船は日本各地に航路を広げ、最盛期には北支や西鮮航路にも進出しました。しかし、戦争中の経済統制や競合他社の出現により、経営は厳しい時代に入ります。特に、関西汽船との共同出資により航路を統合したり、競争が激化した時期もありました。

戦後、日本が復興を遂げる中で、共同汽船は阿摂航路の返還を受け、大阪 - 小松島航路や、大阪 - 徳島航路での共同運航を行うようになります。高度経済成長期に入るとともに、鉄道の電化やバス運航の発展に伴い、貨客船の利用は減少し、運航形態をフェリー輸送へと移行する必要がありました。

1965年には、新たに深日港 - 徳島港間にフェリー航路を開設し、1968年には「阿波国共同汽船」から「共同汽船」に改称されます。1971年には徳島阪神フェリーとして運航を開始し、1974年には小松島フェリーも導入されました。このように、共同汽船は新しい航路や船舶の投入を続け、1985年にはその全盛期を迎えましたが、バスや車の普及により、やがて利用者は減少していきます。

終焉

1993年には、急減する航行便に対処するため、徳島フェリーや小松島フェリーが相次いで廃止され、そして1998年の明石海峡大橋の開通が大きな影響を与えました。この橋の開通により会社の存続は難しくなり、最終的には経営を終了することになりました。これにより、長い歴史を持つ共同汽船株式会社は、その幕を閉じます。

航路と船舶

廃止時まで運航されていた航路には、阪神 - 淡路島航路、大阪 - 関西空港 - 津名 - 洲本、徳島阪神フェリー、大阪 - 小松島航路などがあり、多様な移動手段を提供していました。また、船舶に関しても、フェリーと高速艇を含む多くの艦船が運航しており、運航時には多くの人々に親しまれました。
共同汽船の歴史は、海運業界における変遷を反映し、海上交通の発展に大きく寄与したと言えるでしょう。

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