共命鳥

共命鳥（ぐみょうちょう）

共命鳥は、仏教における伝説上の鳥で、一つの体に二つの頭を持つという特異な姿をしています。サンスクリット語では「jīvaṃjīvaka」といい、命命鳥（めいめいちょう、みょうみょうちょう）、耆婆耆婆（ぎばぎば）とも呼ばれます。この鳥は、『阿弥陀経』において、極楽浄土に住む迦陵頻伽（かりょうびんが）と共に登場し、その美しい姿と妙なる鳴き声で知られています。

特徴

共命鳥は、その美しい羽根と、心に響くような美しい鳴き声を持つとされています。仏教の世界観では、その存在は、単なる想像上の生き物としてだけでなく、深い教訓を伝える象徴としても捉えられています。

説話

共命鳥にまつわる説話は、その特異な姿がもたらす悲劇的な物語を語っています。二つの頭を持つ共命鳥は、互いにその美しさを競い合っていました。どちらの頭も自分が一番美しいと信じ、その優位性を譲ろうとしませんでした。そしてついに、片方の頭は「もう片方を殺せば自分が一番になれる」という考えに至ります。

ある時、片方の頭はもう片方の食事に毒を盛りました。毒を盛られた頭は死んでしまいましたが、共命鳥はもともと一つの体であるため、毒を盛った頭も毒に侵されて、最終的に共命鳥は死んでしまいました。この説話は、自己中心的な考えが最終的には自らを滅ぼす結果を招くことを教えています。

この出来事以降、浄土に住む共命鳥は、「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道であり、他を生かす道こそが己の生きる道である」と鳴き続けるようになったと伝えられています。この鳴き声は、利他的な行動の重要性を説く仏教の教えを象徴していると言えるでしょう。

教訓

共命鳥の物語は、仏教における重要な教訓を伝えています。それは、自己中心的な欲や争いが、最終的には自分自身を傷つけるというものです。また、他者との調和や共生の大切さ、利他的な行動がもたらす良い結果を教えてくれます。この物語は、私たち自身の行動を振り返り、より良い生き方を模索するための指針となるでしょう。

関連項目

* 双頭の鷲：共命鳥と同様に、一つの体に二つの頭を持つ生物のモチーフです。双頭の鷲は、世界各地の文化や紋章に登場します。

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