共和暦8年憲法

共和暦8年憲法の概要

共和暦8年憲法（フランス語: Constitution de l'an VIII）は、1799年にフランスで制定された憲法であり、ナポレオン・ボナパルトが第一統領として権力を握る統領政府の枠組みが明記されています。この憲法の成立は、ブリュメール18日のクーデターによって総裁政府が打倒され、その後暫定政府が新たに定めたものです。

憲法の背景と目的

続いて、共和暦3年憲法のもとでの総裁政府は、不安定な政治状況に直面していました。ナポレオンがクーデターを通じて実権を掌握することで、政治の安定が求められ、共和暦8年憲法の制定が重要なステップとされました。この憲法は明確にナポレオンへの権力集中を意図しており、従来の憲法に見られた人権の宣言は含まれていませんでした。

権力の分配と新たな政府構造

憲法の下では、執行権が三人の統領に与えられましたが、実際には第一統領のナポレオンが全ての権力を握ることとなります。立法府は三つの院で構成され、法案を審議する護民院（定員100名）、法案を採決する立法院（定員300名）、そして法律の合憲性を審査する護憲元老院（定員80名、終身制）が設けられました。

選挙制度は複雑で、住民たちが間接普通選挙によって選び出した「名士」に基づいて名士名簿が作成され、この名簿から元老院が立法院や護民院の議員、破毀院判事、会計検査官を選出する方式が取られました。元老院の空席が生じた際には、第一統領や他の二つの院から推薦された候補者の中から補充議員が選ばれる仕組みです。

国民投票と民主的正統性

1799年12月に行われた国民投票（プレビシット）では、約300万票の賛成票に対し、反対はわずか1,500票という結果が得られました。この結果により、共和暦8年憲法は一定の民主的正統性を持つものとして認められることとなりました。

後の修正と憲法の廃止

この憲法は、ナポレオンが終身第一統領となる共和暦10年憲法や、皇帝即位に伴う共和暦12年憲法の修正を経ていきます。1814年には一旦廃止され、その後の百日天下においては新憲法として全面改訂が行われました。しかし、最終的にはルイ18世の復位によって完全に廃止され、1814年憲章に取って代わられる形となったのです。

まとめ

共和暦8年憲法は、ナポレオンによる支配体制の確立を象徴するものであり、フランス革命の重要な転換点でもありました。その後のフランス史における政治的変遷に大きな影響を与えました。この憲法自体は、権力の集中や民主的な原則の欠如など、多くの問題を内包していましたが、歴史的にはナポレオン時代の基盤となる重要な文書です。

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