統領政府

統領政府 (1799-1804)

統領政府（とうりょうせいふ）は、フランスの歴史において1799年から1804年にかけての政府形態を指します。この期間は、ブリュメール18日のクーデターによって総裁政府が倒され、ナポレオン・ボナパルトが政治権力を強化する重要な時代でした。また、特にこの時期には、フランスの政治制度や社会体制に大きな影響を与える改革が行われたことから、統領政府期と呼ばれることもあります。

統領政府の概要

1799年にナポレオンは、自身の地位を明言せずとも事実上の国家元首となり、政治の中央集権化と権威主義的な体制を築いていきました。この時期に彼が推進した制度や改革は後世に大きな影響を与え、歴史家からも「フランス史における極めて重要な時代の一つ」と評価されています。
ナポレオンは、間接税の復活やフランス銀行の設立、金銀複本位制への復帰などを行い、国の財政基盤を固めました。

総裁政府の崩壊

フランス軍が1798年と1799年に連続して惨敗したことで、総裁政府はその立場を失い、1799年6月18日には歴史家によって総裁政府崩壊の始まりと見なされる出来事が起きました。この日、ジャン＝バティスト・トレヤールの不正が発覚し、政府内部の抗争が激化し、結果として新しい総裁が設立されることとなりました。しかし、新たな総裁は実質的な権力を持たず政府の混乱は続きました。

内外の不安を取り除くために、政府はより過酷な措置を講じざるを得なくなり、ついにはナポレオン自身の手によるクーデターへと繋がっていきます。

クーデターと新政府の設立

1799年11月9日、ナポレオンはブリュメール18日のクーデターを起こし、総裁政府を一新します。このクーデターの結果、シエイエスとナポレオンは、国の新たな体制を構築することになりますが、最終的にはナポレオンが主導権を握ることになりました。

新政府には、法案起草を担当する国務院、法案の審議を行う護民院、法案の採決を行う立法院の三つの機関が設立されました。ナポレオンは、共通の利益からシエイエスを閑職に追いやり、彼の計画を採用しながらも、実質的な権力を自らの手に握ることになりました。

権力強化と民衆の支持

ナポレオンは、初めての国民投票を経て新憲法を承認し、彼自身が実権を完全に掌握する体制を確立しました。国民は、彼が持ち込んだ治安や相対的な安定に魅力を感じ、彼を支持するようになります。
このような背景の中で、ナポレオンは次第に権力を強化していき、1804年には国民投票を通じて終身統領の地位を得ることになりました。これによりフランスは帝政へと移行します。

アンギャン公事件とナポレオンの運命

ナポレオンの政権は彼の就任以降も安定を欠き、暗殺の陰謀が続発しました。1804年には、王党派による反乱が起こり、特にアンギャン公の処刑は、ナポレオンの権威を大きく揺るがす要因となりました。この事件の影響で、国内外での評価が分かれ、彼の治世に対する反発が強まることとなりました。

終わりに

最終的に統領政府は1804年、ナポレオンが皇帝となることでその役割を終え、新たな政体を迎えることとなります。この時代は、ナポレオンによるフランスの制度や政策の大きな変革期であり、その影響は現在に至るまで続いています。

もう一度検索