兵庫町 (高松市)

兵庫町（ひょうごまち）

香川県高松市の中心部に位置する町丁で、郵便番号は760-0024です。住居表示に関する法律に基づく町名、地番の整理は行われていません。

地理的には、高松市役所からほど近い都心の一角を占めています。高松中央商店街の一郭を形成する「兵庫町商店街」の通り（市道兵庫町西通町線および市道片原町沖松島線）を挟んで、その両側に町域が広がっており、東西に細長く伸びる両側町となっています。町域の大部分を占める兵庫町商店街は、全長およそ370メートルのアーケード付き自転車歩行者専用道路となっており、日中は多くの買い物客や通行人で賑わいます。また、かつて高松城下から延びる主要街道の一つである丸亀街道がこの道筋を通っており、常磐橋付近（現在の丸亀町ドーム北側）から西へ向かい、丸亀方面へ通じていました。

2015年の国勢調査によると、兵庫町の人口は146人（男性70人、女性76人）、世帯数は76世帯です。面積は2万8040.55平方メートルで、人口密度は約5206.7人/km²となっています。公立の小学校・中学校の校区については、町域全域が新番丁小学校および紫雲中学校に指定されています。

都市計画の観点では、町内の全域が商業地域に指定されています。容積率は、中央通りを挟んだ東西の街区が600%、それより東側の区域が500%、西側の区域が400%と定められています。

歴史を紐解くと、兵庫町という町名の由来は、かつてこの地に兵器庫（兵庫）が置かれていたことによるとされています。高松城下が形成された初期から存在したと推測される町の一つで、寛永17年（1640年頃）の城下町絵図には「兵庫かたはら町」と記されています。このことから、隣接する片原町と同様、外濠に面した片側のみに家並みが形成された「片側町」であったことが窺えます。

宝暦7年（1757年）、高松藩が財政再建と産業振興を目的に藩札（銀札）を発行した際、正金銀との交換を担う札会所が町内に設置されました。その隣には、札会所業務を担当する掛屋職の屋敷が設けられ、手代らが常駐して交換業務にあたりました。

明治8年（1875年）、かつて札会所があった場所に、南新町の伏石屋鈴木伝五郎、丸亀町の奈良屋十河権三郎といった当時の有力商人たちが集まり、博文社を設立しました。これは、近代化に向けた啓蒙運動の中心的な役割を果たしました。同年には、町内にあった手習塾を発展させる形で私立光訓小学校が開校し、丸亀町や古新町などから520名もの児童が通学しました。翌年には公費による運営に移行しましたが、明治17年（1884年）に高松とその周辺の村々が統合されて一つの学区となった際に、廃校になったものと推測されています。

明治23年（1890年）2月15日、かつての高松城下の町々をまとめて高松市が誕生し、兵庫町はその行政区域に組み込まれました。文明開化の時代を迎えると、明治28年（1895年）4月に高松電灯が設立され、同年11月には四国で初めて電灯が兵庫町と丸亀町で点灯されました（当時の電灯契約数は294戸）。明治33年（1900年）には外濠や堀川の埋め立てが行われ、明治43年（1910年）にはその埋立地に高松駅が開業しました。

交通網も発展し、明治41年（1908年）には町の東部にある「広場」（現在の高松中央商店街の起点付近）から鬼無方面への乗合馬車の運行が始まりました。大正6年（1917年）には高松琴平電気鉄道の市内線が開通し、「広場」に停車場が設けられました。これにより、広場で電車を降りて兵庫町や片原町などの繁華街を訪れる人々が増え、広場周辺は大いに賑わいました。第二次世界大戦後、市内電車は姿を消しましたが、広場の交差点を往来する人や車の流れは現在も絶えず、活気があります。

しかし、昭和20年（1945年）7月4日未明の「高松空襲」では、米軍による無差別爆撃により、町内のほぼ全てが焦土と化しました。壊滅的な被害を受けた高松市中心部では、戦災復興に向けた大規模な土地区画整理事業が実施され、兵庫町もその対象となり、多くの街路が拡張・整備されました。この区画整理事業の換地処分は昭和33年（1958年）7月10日に公告されました。これに伴い、翌7月11日には町域の境界が再編され、一部が西内町や古新町に編入される一方、西新通町の一部や丸亀町、古新町、浜ノ丁のそれぞれ一部が兵庫町に組み込まれました。

現在、町内には高松中央商店街の一角として、多様な商業施設や金融機関、飲食店、サービス業などの事業所が集積し、日々の暮らしやビジネスを支える活気あふれるエリアとなっています。

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