兵庫県公館

兵庫県公館：歴史と芸術が調和する迎賓館

1902年（明治35年）に建てられた兵庫県公館は、神戸市の歴史と文化を語る上で欠かせない建造物です。当初は兵庫県庁本庁舎として利用されていましたが、1985年（昭和60年）からは、県の迎賓館および県政資料館として新たな役割を担っています。

ルネサンス様式の壮麗な建築

中庭を中心とした回廊式の建物は、ルネサンス様式を基調とした壮麗な建築美を誇ります。設計を手掛けたのは文部技官の山口半六。竣工当時は日本最大級の庁舎建築であり、1890年代から東洋最大の海運市場として栄えた神戸港の繁栄を象徴する存在でもありました。

戦災と復興、そして新たな姿

第二次世界大戦中の神戸大空襲では、外壁以外の全てが焼失するという大きな被害を受けました。その後、二度の大規模な改修工事が行われ、1983年（昭和58年）に県庁舎としての役割を終えたのを機に、外装・内装ともに竣工当時の姿に復元されました。1985年の再開館と同時に「兵庫県公館」と改称され、現在に至ります。

建物外壁は建設当初からの姿を残しており、その歴史的・文化的価値の高さが認められ、国の登録有形文化財に登録されています。毎年1月17日には、阪神・淡路大震災の追悼式典がここで開催されます。

美術館・博物館としての側面

兵庫県公館は、単なる迎賓館や資料館にとどまりません。館内には、小磯良平の代表作「KOBE, THE AMERICAN HARBOUR」をはじめ、金山平三、東山魁夷、横尾忠則など、兵庫県ゆかりの著名な芸術家たちの作品が多数展示されています。「KOBE, THE AMERICAN HARBOUR」の西陣織タペストリーは、絵画の25倍もの大きさです。

さらに、大会議室や第一会議室は、芸術系展覧会の開催にも利用されており、美術館や博物館としての性格も併せ持っています。収蔵品は多岐に渡り、絵画、彫刻、工芸品など、様々なジャンルの作品が鑑賞できます。

展示されている主な作品

館内には、以下の様な作品が展示されています。（一部抜粋）

小磯良平：「KOBE, THE AMERICAN HARBOUR」（絵画、西陣織タペストリー）
荒木高子：「ポケットバイブル」
池内艸舟：「春」
伊藤清永：「寛裕」
多くの県ゆかりの作家による作品など

これらの作品は、兵庫県の豊かな文化と歴史を今に伝えています。

建物概要

設計：山口半六
起工：1899年（明治32年）
竣工：1902年（明治35年）
所在地：〒650-0011 兵庫県神戸市中央区下山手通4丁目4番1号
受賞：第1回公共建築賞建設大臣表彰（1988年）

開館時間とアクセス

迎賓館：土曜日（年末年始除く）
県政資料館：月～土曜日（年末年始除く）
* アクセス：神戸市営地下鉄西神・山手線 県庁前駅 徒歩1分、その他複数の駅からもアクセス可能

映画・テレビ撮影にも利用

兵庫県公館は、神戸フィルムオフィスおよびひょうごロケ支援netを通じて、映画やテレビドラマの撮影にも積極的に協力しており、数々の作品に登場しています。例えば、『HERO』（劇場版第2作）では、架空の国の大使館として使用されました。

歴史的建造物としての価値、芸術作品を鑑賞できる空間としての魅力、そして映画やドラマの撮影にも利用される多様な側面を持つ兵庫県公館は、神戸を代表する重要な施設の一つと言えるでしょう。

もう一度検索