兵庫県立姫路工業高等学校

兵庫県立姫路工業高等学校は、兵庫県姫路市伊伝居に所在する、県立の工業高等学校です。地域では「姫工（ひめこう）」の愛称で親しまれており、その歴史は古く、地域産業の発展と共に歩んできました。本校は、ものづくりを中心とした実践的な工業技術教育を特色とし、特に生徒の資格取得に対して手厚い指導を行っていることで知られています。

教育の特色

本校の最も顕著な特色の一つが、生徒の資格取得における目覚ましい実績です。国家資格や技能検定など、様々な分野の資格取得を奨励しており、特に全国工業高等学校長協会が主催するジュニアマイスター顕彰制度においては、その成果は全国でも傑出したものです。取得単位数に応じた顕彰ランクのうち、最高位であるゴールド認定者の数は、全国の工業高校の中で第一位という輝かしい記録を保持しています。この実績は、生徒たちの高い学習意欲と、それを支える教職員の熱心な指導体制、そして充実した実習環境の賜物と言えます。これらの資格取得を通じて、生徒たちは将来の専門分野で活躍するための確かな技術力と自信を身につけています。

設置学科

全日制課程には、現代産業を支える多岐にわたる分野に対応した6つの工業系学科が設置されています。それぞれの学科が専門性の高い知識と技術を学ぶ機会を提供しており、生徒は自身の興味や進路希望に合わせて選択することができます。

機械科：機械設計、加工、制御など、ものづくりの基盤となる技術を学びます。
電気科：電気回路、発電、送配電、電気工事など、電気エネルギーに関わる技術を学びます。
工業化学科：化学物質の性質や反応、分析技術、環境技術など、化学分野の知識を応用する技術を学びます。
デザイン科：工業製品、グラフィック、空間など、デザインの理論と実技を学びます。
溶接科：金属材料の接合技術である溶接に関する専門知識と高度な技能を習得します。
電子機械科：機械技術と電子技術を融合させたメカトロニクス分野の技術を学びます。

これらの学科は、現代の高度化・複合化する工業技術に対応できるよう、常に教育内容の見直しと充実に努めています。

沿革

本校のルーツは、太平洋戦争前の1936年（昭和11年）にさかのぼります。旧制姫路師範学校の廃止に伴う代替措置として、同年2月22日に「兵庫県立姫路工業学校」として設立が認可されました。当初は紡織科、色染化学科、工芸図案科といった、当時の地域産業を反映した学科が設置されていました。

学制改革を経て、1948年（昭和23年）4月1日には「兵庫県立姫路工業高等学校」と校名を変更し、新制高校として歩み始めます。その後、1950年（昭和25年）4月1日には「兵庫県立姫路工業大学附属高等学校」となりますが、1965年（昭和40年）4月1日には再び「兵庫県立姫路工業高等学校」の名称に戻り、現在に至っています。この間の名称変更は、当時の教育制度や地域における学校の位置づけの変化を示すものです。

部活動

学業だけでなく、部活動も盛んに行われており、特に硬式野球部は輝かしい成績を残しています。春の選抜高等学校野球大会に3回（1994年・第66回、1996年・第68回、2001年・第73回）、夏の全国高等学校野球選手権大会に2回（1994年・第76回、2005年・第87回）と、春夏合わせて計5回の甲子園出場を果たしています。また、2011年（平成23年）夏の兵庫県大会では、兵庫県立氷上西高等学校に対して5回コールドで71対0という記録的な大勝を収めるなど、その強さは県内でも広く知られています。

人材育成

本校は長い歴史の中で、様々な分野で活躍する多くの卒業生を社会に送り出してきました。ガラス工芸家の青野武市氏（前身校卒）、水泳選手でオリンピック銀メダリストの藤本達夫氏（前身校卒）、バレーボール選手でオリンピック金メダリストの中村祐造氏（前身校卒）といったスポーツ・芸術分野の偉人から、参議院議員を務めた藤原正司氏、川柳作家の大西泰世氏、プロ野球選手の万永貴司氏や真田裕貴氏、マンガ家のななじ眺氏、イラストレーターの奥田鉄氏、歌手の兵庫ケンイチ氏、ラグビー選手の山本剣士氏、落語家・曲独楽師の桂米八氏など、その活躍は多岐にわたります。これは、本校が単に技術者を育成するだけでなく、生徒一人ひとりの可能性を引き出し、多様な進路を支援してきた証と言えるでしょう。また、教育者・実業家として知られる加計勉氏が教職員として在籍していた時期もあります。

まとめ

兵庫県立姫路工業高等学校は、伝統に培われた工業教育を基盤とし、現代の産業界で求められる専門知識と実践的な技術を兼ね備えた人材育成を目指しています。特に資格取得における全国トップクラスの実績は、本校の教育水準の高さを物語っています。多彩な学科と活発な部活動を通じて、生徒たちは自己を磨き、将来社会に貢献するための力を育んでいます。地域社会との連携も深めながら、未来を担う若者の育成に邁進しています。

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