兵庫県立神戸甲北高等学校

兵庫県立神戸甲北高等学校

兵庫県立神戸甲北高等学校は、兵庫県神戸市北区大脇台に位置する公立高等学校です。地元では「甲北（こうほく）」の略称で親しまれています。標高約390メートルの高台に校舎を構え、これは兵庫県内の公立高校としては最も高い場所に位置することになります。

創立は1974年。当初は普通科高校としてスタートしましたが、1997年4月には兵庫県内で初めて総合学科を設置し、教育課程を刷新しました。この総合学科への改編により、生徒一人ひとりの興味や進路希望に応じた多様な学びの機会を提供しています。

学校は、[自主・協調・創造]を校訓に掲げています。校章は「甲北」の文字を図案化し、武士の「兜」をイメージしたデザインです。「甲」の六角形は、校訓に加えて生徒信条である[忍耐・自律・向上]の六つの精神を表し、「北」は兜の前立を模しており、質実剛健さと燃ゆる理想を象徴しています。校風は、総合学科への移行当初は比較的自由でしたが、教育環境の整備とともに規律を重視する傾向となり、現在は適度な厳格さの中に、服装の季節指定がないなどの自由な側面も併存しています。なお、学業優先の観点から、家庭の事情を除き3年次の1月までのアルバイトや、自動車免許の取得は原則として許可されていません。

本校の教育活動の特色として、[A・S・Vをはぐくむ]という方針があります。Aはアジアと結ぶことを意味し、ハングル講座の設置や、在日韓国朝鮮人に関する講演会の実施、姉妹校との交流など、アジア、特に韓国との関係を深める活動が活発です。Sはスポーツ・芸術を生かす、Vはボランティアで学ぶことを示しており、多様な部活動や総合学科の系列選択、ボランティア活動への参加を通じて、生徒の可能性を広げています。

総合学科には、人文科学、自然科学、情報科学、生活環境、国際理解、芸術文化といった多岐にわたる系列が設けられており、生徒は自身の関心に合わせて専門的な学びを深めることができます。

沿革を見ると、1974年の開校以来、10周年、20周年、30周年、40周年、50周年と節目ごとに記念式典が開催されてきました。1996年には韓国、1999年には中国の高校と姉妹校協定を結び、国際交流にも積極的に取り組んでいます。2013年から2014年にかけては校舎の耐震工事が行われ、一時的に仮校舎へ移転しました。2021年からは兵庫県立東灘高等学校との間で定期戦を実施しています。

部活動や生徒会活動も盛んです。文化部では、書道部が「書の甲子園」で文部科学大臣賞を受賞するなど、高いレベルで活動している部もあります。運動部では、女子ラグビー部が全国高等学校選抜女子セブンズラグビーフットボール大会や国民体育大会、全国女子ラグビーフットボール選手権大会などに、陸上競技部が全国高等学校総合体育大会や国民体育大会、日本陸上競技選手権大会などに、それぞれ多数出場し好成績を収めています。他にも、硬式野球、サッカー、水泳、女子バレー、女子ソフトボール、ダンスなど、多くの部が活動しており、生徒は文武両道を目指しています。また、ボウリングやラップバトルといった分野でも全国レベルの成果を上げています。

本校は、神戸電鉄有馬線北鈴蘭台駅から東へ徒歩約15分の場所に位置しています。近隣には神戸市立桜の宮中学校や神戸弘陵学園高等学校があり、兵庫県立神戸特別支援学校とも隣接しています。

そして、2025年度には新たな歴史の幕が開きます。2022年7月14日に兵庫県教育委員会から発表された計画に基づき、兵庫県立神戸北高等学校と統合し、兵庫県立北神戸総合高等学校として再編されます。統合後の新高校は、本校の校地に設置されることが同年11月17日に決定しており、これまでの伝統を引き継ぎつつ、新たな教育の場として発展していく予定です。

卒業生には、野球指導者の石原康司氏、お笑い芸人の藤井輝雄氏、陸上選手の坪田智夫氏、女子ラグビー日本代表の庵奥里愛選手、名倉ひなの選手、北野和子選手、細川恭子選手らがいます。また、元教員にはカヌー五輪代表の丸山小百合氏がいます。

創立から半世紀にわたり、神戸市北区の教育を支えてきた神戸甲北高等学校は、地域社会との連携を大切にしながら、時代の変化に対応し、生徒の育成に取り組んできました。統合を経て、その教育理念と実績は未来へと受け継がれていくことでしょう。

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