兵庫県立粒子線医療センター

兵庫県立粒子線医療センターについて

兵庫県立粒子線医療センターは、兵庫県たつの市に位置し、陽子線と炭素イオン線という二つの粒子線を利用してがん治療を行う県立病院です。本センターは、1987年に立案された「ひょうご対がん戦略」に基づき、がん治療のための先進的な施設として設立されることとなりました。1994年には県立粒子線治療センターが播磨科学公園都市に設置され、2001年に陽子線治療と炭素イオン線治療を同時に行える世界初の施設として正式に開院しました。

治療の内容と進化

開院以来、本センターでは治療が可能ながんの種類が増えてきており、2022年2月には13種類のがん治療に対応することができるようになりました。例えば、陽子線治療は小児腫瘍や骨軟部腫瘍、頭頸部悪性腫瘍、そして局所進行性の前立腺がんなどに用いられています。炭素イオン線治療も同様の悪性腫瘍への適用があり、特に重粒子線治療法による効果が期待されています。

また、神戸大学医学部附属病院との共同研究も行われており、治療技術の向上が図られています。特に注目されるのは、腫瘍部位と放射線感受性の高い臓器を安全に離すために用いられるスペーサ「ネスキープ」を用いたアプローチです。これにより、より的確に粒子線を腫瘍に絞った照射を実現しています。

2018年4月からは、段階的に保険適用での治療が開始され、より多くの患者がこの先進的な治療を受けることができるようになりました。2022年4月には新たに五つのがんが保険適用され、メディアでの取り上げも多くなっています。

治療対象がんの種類

現在、兵庫県立粒子線医療センターでは、以下のがんの治療が可能です：

• - 陽子線治療：

- 小児腫瘍（限局性の固形悪性腫瘍）
- 骨軟部腫瘍（切除非適用）
- 頭頸部悪性腫瘍（口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く）
- 限局性及び局所進行性前立腺がん

• - 重粒子線（炭素イオン線）治療：

- 骨軟部腫瘍（切除非適用）
- 頭頸部悪性腫瘍（口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く）
- 限局性及び局所進行性前立腺がん
また2022年4月からは以下のがんも保険適用となりましたが、手術非適用であることが条件です：

• - 直径5cm以上の肝細胞がん
• - 肝内胆管がん
• - 局所進行膵がん
• - 局所進行子宮頸部腺がん
• - 手術後に局所再発した大腸がん

歴史的沿革と関連情報

• - 2001年4月：兵庫県立粒子線医療センターが開所
• - 2017年12月：附属神戸陽子線センター開所

本センターは、放射線科の専門機関として、治療の向上を目指し続けています。また、漫画家の中川いさみが同センターでの闘病体験を描いた『重粒子の旅』などの作品もあり、多くの著名なメディアにも取り上げられています。特に、日経スペシャルの「ガイアの夜明け」では、がんを乗り越える先進的な治療法について広く視聴者に紹介されています。

兵庫県立粒子線医療センターは、がん治療における新たな可能性を模索しながら、今後も多くの患者に希望を提供する医療機関としての役割を果たしています。

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