兵庫県道344号奥山精道線

兵庫県道344号奥山精道線

兵庫県道344号奥山精道線（ひょうごけんどう344ごう おくやませいどうせん）は、兵庫県芦屋市内に位置する一般県道です。この路線は、芦屋市の山間部である奥山地区を起点とし、市街地の精道町にある国道43号の精道交差点を終点としています。その総延長は約5.106キロメートルに及びます。

路線概要と状況

路線の起点は、芦屋市奥山の芦有ドライブウェイの起点近く、芦屋カンツリー倶楽部の出入口道路と芦屋川が交差するあたりに位置します。ここからしばらく進むと、芦有ドライブウェイの芦屋ゲート方面との分岐点があり、以降、芦屋浄水場前交差点にかけては、勾配の大きな山間部の坂道が続きます。この区間を抜けると、路線は住宅地の中を下る形に変わり、市街地へと入っていきます。山手幹線、国道2号（国道171号重複）、鳴尾御影線といった主要な道路と交差しながら南下し、最終的には芦屋市精道町で国道43号と交わる精道交差点でその道のりは終わりを迎えます。

道路構造としては、車道は全区間を通して片側1車線が確保されており、通行に必要な幅員は有しています。しかし、歩道に関しては、一部の区間を除いて狭くなっている場所が多く、歩行者にとっては注意が必要な箇所も見られます。

特徴的な区間：ライト坂

本路線には、その特徴的な区間として「ライト坂」と呼ばれる場所が存在します。これは、芦屋浄水場前交差点から開森橋交差点に至るまでの急勾配の坂道に付けられた愛称です。この名前は、坂道沿いに建つ歴史的建築物である旧山邑家住宅（通称：ヨドコウ迎賓館）を設計した、世界的に有名な建築家フランク・ロイド・ライトに由来しています。1999年（平成11年）に芦屋市が道路の愛称を公募した際に、「ライト坂」という名前が正式に決定されました。しかしながら、この「ライト坂」は急な下り勾配が続くため、特に大型車両などではブレーキの多用によるフェード現象が発生しやすく、過去には交通事故が多発している地点でもあります。通行する際には十分な注意が喚起されています。

道路施設と地理

路線上には、芦屋川を渡る弁天橋といった橋梁が存在します。

通過する自治体は芦屋市のみであり、南北に縦断する形で市内の重要な交通路の一つとなっています。沿線では、山陽新幹線、阪急神戸本線、東海道本線、阪神本線といった複数の鉄道路線と交差しており、それぞれの駅（芦屋川駅、芦屋駅など）周辺は地域の拠点となっています。また、奥池、奥山浄水場、芦屋市立山手小学校、旧山邑家住宅（ヨドコウ迎賓館）、芦屋市民センター、芦屋警察署、芦屋市役所、芦屋市立精道小学校など、生活関連施設や公共施設、歴史的な建造物などが多く見られます。バス路線としては、阪急バスが本路線の一部区間を運行しています。

総じて、兵庫県道344号奥山精道線は、芦屋市の山間部から市街地を結ぶ幹線道路であり、地域住民の生活を支えるとともに、「ライト坂」のような文化的・歴史的な側面も持ち合わせた県道と言えるでしょう。急勾配区間での安全確保が重要な課題となっています。

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