兵庫県道89号村岡小代線

はじめに

兵庫県道89号村岡小代線は、兵庫県美方郡香美町内に位置し、同町の村岡区と小代区を結ぶ主要な地方道です。この路線は、香美町北西部の山間地を縦断するように走り、地域の幹線道路としての役割を果たしています。正式名称は「ひょうごけんどう89ごう むらおかおじろせん」と読みます。

路線概要

この県道は、起点を美方郡香美町村岡区福岡に、終点を美方郡香美町小代区神水に定めています。起点の村岡区福岡では、重要な幹線道路である国道9号に接続しており、特に兎和野高原への入口付近に位置する兎和野高原口交差点が起点となります。一方、終点の小代区神水では、地域を結ぶ国道482号に接続しています。

通過する自治体は、全線にわたって美方郡香美町のみです。このことは、本路線が香美町内の重要な地域間連絡を担っていることを示唆しています。

路線の総延長は、約14.290キロメートルと比較的小規模な主要地方道ですが、その短い距離の中に、地域の地理的特徴が凝縮されています。

路線の特徴

兵庫県道89号村岡小代線の最大の特徴は、一二峠（ほいとうげ）を越えるルートである点です。この峠は、村岡地域と小代地域を隔てる山塊の中に位置しており、路線はこの峠を越えるために勾配やカーブが多い山岳道路としての性質を持っています。山間の豊かな自然の中を縫うように進む道であり、四季折々の風景を楽しむことができる区間も含まれると考えられます。このような地理的条件は、冬季には積雪や路面凍結といった注意が必要となる場合もあります。

歴史的背景

本路線が現在の主要地方道としての地位を得るまでには、いくつかの経緯があります。1993年（平成5年）5月11日には、建設省（現在の国土交通省）によって、この地域の複数の既存県道の一部区間が再編・統合される形で、主要地方道として指定されました。具体的には、県道茅野福岡線、県道萩山福岡線、そして県道河内美方線のそれぞれ一部が、新たに「村岡美方線」として主要地方道に指定されたことが記録されています。この指定は、地域の幹線道路網を強化し、交通の円滑化を図る目的で行われたものと考えられます。現在の路線名である「村岡小代線」が、この「村岡美方線」とどのように関係し、いつ成立したのかという詳細については、本情報からは明確ではありませんが、地理的に美方郡内（現在の香美町）の村岡地域と小代地域を結ぶルートであることから、この主要地方道指定が現在の路線の基盤となった可能性が高いと言えます。

地域における役割

兵庫県道89号村岡小代線は、美方郡香美町内の村岡区と小代区という二つの地域を結ぶ重要な連絡路です。両地域間の日常的な移動や物流を支えるとともに、地域経済や観光の面でも重要な役割を担っています。特に、起点が国道9号という広域的な幹線道路に接続していることから、外部からのアクセスを受け入れ、地域へと導くゲートウェイとしての機能も持っています。また、終点で接続する国道482号は、地域内の他の主要拠点や周辺市町を結ぶ役割を持つため、本路線は香美町内の道路ネットワークにおいて、村岡・小代間の結節点としての役割を果たしていると言えます。主要地方道として指定されていることは、この路線が単なる地域内道路にとどまらず、より広範な交通網の一部として位置づけられ、整備や維持管理が重点的に行われていることを意味します。

結び

兵庫県道89号村岡小代線は、約14キロメートル強の比較的短い路線ながら、香美町の地理的・交通的な要衝を結び、一二峠を越える特徴的なルートを持つ主要地方道です。地域の日常生活、産業、観光を支える基盤であり、その歴史的経緯や地理的条件は、この地域特有の道路網の成り立ちを物語っています。

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