兵部省 (明治時代)

兵部省の概要と歴史

兵部省（ひょうぶしょう）は、明治時代に日本政府によって設立され、国家の防衛や治安維持を担う機関です。その役割は現在の防衛省に非常に近いものがあります。1872年の廃止に至るまで、兵部省は日本の軍事政策の重要な部分を担っていました。

設立背景

1868年に王政復古が実施されると、様々な旧来の制度が見直され、特に朝廷の権威が復活しました。これに伴い、1869年8月15日（旧暦明治2年7月8日）に官制大改革が行われ、軍務官制から軍事防衛を担当する兵部省に改編されました。

兵部卿には、仁和寺宮嘉彰親王が任命されましたが、実際の業務はその次官である大輔が行うという形が取られました。これにより、兵部省は軍事に関する方針や施策を策定する重要な機関としての機能を持つようになりました。

官制の変遷

兵部省には、陸軍部と海軍部が設置され、それぞれが異なる部局を持ちました。

• - 陸軍部（明治4年7月設置） には、以下の局があります：

- 第一局（秘史局）
- 第二局（軍務局）
- 第三局（砲兵局）
- 第四局（築造局）
- 第五局（会計局）

• - 海軍部（明治4年9月設置） には、以下の局があります：

- 第一局（秘史局）
- 第二局（軍務局）
- 第三局（造舶局）
- 第四局（水路局）
- 第五局（会計局）

さらに、海陸軍兵学寮や軍医寮、造兵司などの機関も設けられ、軍事教育や夏消費を広める役割を果たしました。

廃止とその後の展開

しかし、1872年4月4日（旧暦明治5年2月27日）に政府の軍事防衛に対する方針が大きく転換され、兵部省は廃止されました。この結果、薩摩閥や長州閥からの要望に応じて、陸軍省と海軍省という新たな省が設立されることになります。

主要職員

兵部省における主要な職員は次の通りです：

• - 兵部卿：仁和寺宮嘉彰親王、その後、有栖川宮熾仁親王
• - 兵部大輔：大村益次郎や山縣有朋など
• - 兵部少輔：久我通久など

歴代幹部

特に大村益次郎は優れた軍事指導者であり、彼の下で多くの改革が進められましたが、1869年に死去しました。その後、山縣有朋が大輔に就任するなど、兵部省の人事は政局と深く結びついていました。

結論

兵部省は、日本の近代化の過程で非常に重要な役割を果たしましたが、その短い歴史の中で多くの変革を経験しました。廃止後の陸軍省と海軍省は、今日に至るまでの日本の防衛機構の基盤を築くこととなり、その影響は今も続いています。

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