典子は、今

映画『典子は、今』の概要

『典子は、今』（のりこは、いま）は1981年に公開された日本の映画で、サリドマイド病患者である辻典子の人生をセミ・ドキュメンタリー形式で描いています。本作は、監督松山善三によって制作され、辻典子自身が主演を務めています。物語は、障害者が社会に参加する重要性を力強く訴えかけており、多くの人々に感動を与える作品として注目を浴びました。

あらすじ

1979年春、両腕を持たない典子が熊本市内の団地で母・春江と共に暮らしているところから物語は始まります。学校には一般の高校に通い、日常生活では足を器用に使いながら様々な行動を行っています。時には母や友人に手を借りることもありますが、典子は困難を乗り越えるために努力を惜しみません。

ある日、授業で「将来の夢」というテーマでスピーチを行うことになり、典子は「私は、今…」と自分の将来について思いを巡らせます。スピーチでは、母の支えに感謝しつつ、卒業後は働いて母を楽にさせたいと強く抱負を述べます。この心強い姿勢に、教師も周りの友達も大いに感動しました。

確認のため、自宅に訪れた担任と校長から市役所での公務員試験について提案され、典子は試験に向けて勉強を始めます。11月、いよいよ試験の日がやってきます。友人や教師の応援を受けながら試験に臨んだ彼女は、翌2月に見事合格。母の春江は、成長した典子の姿を見て感慨深く、涙を流します。

4月からは市役所の障害福祉係で受付を担当し、自らの仕事を熱心にこなす典子。充実した社会人生活をスタートさせます。ある夏の日、友人からの手紙を受け取った典子は、広島の島に訪れる計画を立てます。母の反対を押し切り、彼女は初めて一人での旅行に挑戦します。

旅行中、典子は周囲の人々と協力しながら自立を実現し、目的地にたどり着きます。悲しいことに、手紙の送信者は亡くなっていましたが、その家族からは温かく迎えられ、楽しい時間を過ごすことになります。出発前の母・春江の不安も少し和らぎ、娘が自立する姿に喜びを感じるのでした。

キャスト

本作では、典子には辻典子（少女時代は若命真裕子）、母役には渡辺美佐子、担任役に河原崎長一郎が出演しており、他にも様々なキャストが登場します。それぞれのキャラクターが典子の成長を見守り、彼女の人生の重要な局面で支え合う様子が描かれています。

映画の影響

『典子は、今』は、身体障害者の社会参加について多くの人々に考えさせる重要な作品です。1981年の邦画では配給収入第3位を記録し、ジョン・ミュアー医学教育映画祭ではグランプリを受賞しました。この映画が持つメッセージは、今なお多くの人に新たな希望を与えています。

この作品は、自立を目指して努力する典子の姿を通じて、身体的な制約を持ちながらも力強く生き抜くことの大切さを教えてくれます。1981年に公開されたこの映画は、後にDVD化され、今でも多くのファンに支持されています。

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