兼田敏

兼田敏（かねだ びん）

プロフィール

兼田敏は、1935年9月9日に旧満洲新京（現在の中国長春市）で生まれ、2002年5月17日に生涯を閉じました。日本の作曲家として、特に吹奏楽の分野で重要な足跡を残しました。

生い立ちと音楽への道

戦後、日本に引き揚げた後、京都市で育ちました。中学校時代にはコルネット奏者として音楽に触れ、その才能を開花させました。京都市立堀川高等学校音楽課程（現京都市立京都堀川音楽高等学校）を経て、東京藝術大学作曲科に進学。作曲家としての基礎を築きました。大学では下総皖一に師事し、作曲技法を磨きました。

教育者としての活動

兼田敏は教育者としても活躍しました。岐阜大学教授、愛知県立芸術大学教授、岐阜大学大学院教授を歴任し、多くの学生を指導しました。岐阜市に居を構え、岐阜県を中心に音楽活動を展開しました。その間、日本管打・吹奏楽学会顧問、日本バンドクリニック委員会代表、ナゴヤ・ディレクターズバンド指揮者などの要職を歴任し、日本の吹奏楽界の発展に大きく貢献しました。

保科洋との交流

東京藝術大学の同期であった作曲家、保科洋とは親交が深く、共に日本の吹奏楽文化の普及に尽力しました。兼田の音楽葬では、保科が実行委員長を務め、その友情の深さを示しました。

主な作品

兼田敏の作品は、吹奏楽を中心に多岐にわたります。特に全日本[[吹奏楽コンクール]]の課題曲を数多く作曲したことで知られています。以下に主な作品を挙げます。

シンフォニックバンドのためのパッサカリア（1971年）：音楽之友社創立30周年記念委嘱作品
日本民謡組曲「わらべ唄」：アメリカのスクールバンドのために書かれた作品。「あんたがたどこさ」「子守唄」「山寺の和尚さん」の3曲で構成
バンドのための楽章「若人の歌」（1964年）：全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲初のオリジナル作品
吹奏楽のための「ディヴェルティメント」（1967年）：全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲
吹奏楽のための寓話（1973年）：全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲
嗚呼!（1986年）：全日本[[吹奏楽コンクール]]課題曲
ウィンド・オーケストラのための交響曲（1993年）：東海道宿駅制度４００年記念事業委嘱作品
ウィンド・オーケストラのためのシンフォニック・ヴァリエーション（1977年）：東京佼成ウィンドオーケストラ委嘱作品
ウィンド・オーケストラのためのファイヴ・イメージズ（1988年）：静岡大学吹奏楽団委嘱作品
吹奏楽のための序曲（1965年）：ヤマハ吹奏楽団浜松委嘱作品
吹奏楽のための交響的瞬間（1971年）：ヤマハ吹奏楽団浜松委嘱作品、1975年度笹川賞創作曲コンクール吹奏楽C部門2位
吹奏楽のための主題と変奏（1972年）：蒲郡市吹奏楽団委嘱作品
吹奏楽のための哀歌（1974年）：駒澤大学吹奏楽部委嘱作品
吹奏楽のためのバラード シリーズ（I～V）：ヤマハ吹奏楽団、東京佼成ウィンドオーケストラ、高松市民吹奏楽団などからの委嘱作品。1981年から1999年にかけて作曲
バンドのための楽章「海神の行進」
シンフォニックバンドのための交響的音頭（1984年）：日本バンドクリニック委員会委嘱作品
行進曲「躍進」（1973年）：千葉国体行進曲
行進曲「ブルー・マリーン」（1975年）：三重国体行進曲
行進曲「秋田」《ビバ・ヘヴァ》（1978年）：秋田県吹奏楽連盟委嘱作品
行進曲「わかくさ」（1984年）：奈良国体行進曲
コンサート・マーチ「下関」（1983年）：下関市民吹奏楽団委嘱作品
行進曲「陽気な高校生」
March Oh！OSAKA
行進曲「山口」（1985年）：山口国体行進曲
行進曲「京都」（1988年）：京都国体行進曲
行進曲「光に向かって」（1988年）：京都国体行進曲
マーチ！マーチ！（1989年）：日本バンドクリニック委員会委嘱作品
行進曲「飛翔」（1990年）：愛知県吹奏楽連盟30周年記念委嘱作品、中部吹奏楽コンクール課題曲
マーチ「グリーン・ライト」（1991年）：岐阜県警察音楽隊委嘱作品
行進曲「響け翠を讃えて」〈合唱付き〉（1992年）：東四国国体行進曲
行進曲「銀嶺」（1996年）：ぎふスズラン国体行進曲、中部吹奏楽コンクール課題曲
岐阜市民の歌（1979年）：岐阜市制定

これらの作品は、吹奏楽界において重要なレパートリーとして親しまれています。兼田敏の音楽は、その旋律の美しさと構成の巧みさで、多くの人々を魅了し続けています。

外部リンク

兼田敏 作品集｜Teeda
バラード 兼田敏作品集

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