内山下 (高梁市)

内山下（うちさんげ）

岡山県高梁市に位置する内山下は、備中松山城の所在地として知られる地域です。この地は、高梁市中心市街地の北端に位置し、臥牛山の一部である小松山とその南東麓に広がっています。かつては城下町の一部として栄え、その名残を今に伝えています。

地理的特徴

内山下の地形は、平地部が麓の一部に限られ、大部分が山地となっています。そのため、住居や商店などの生活拠点は、麓の平地部に集中しています。江戸時代には、この平地部に松山藩主の居館である尾根小屋（おねごや）や御下屋敷（おしもやしき）が置かれ、地域の中心としての役割を担っていました。現在では、JR伯備線が平地部を南北に縦断しています。

西側は川端町に隣接し、その先には国道180号や高梁川が流れています。北側は小松山の山地を挟んで津川町今津と接し、東側は小高下町に隣接しています。備中松山城へ通じる道は、内山下から直接アクセスすることはできず、一度小高下町を経由する必要があります。南側は小高下川が境界となっており、この川以南は旧城下の武家町や町人町の北端にあたります。

歴史

城下町としての歴史

臥牛山は、かつて「松山」とも呼ばれ、鎌倉時代には秋庭三郎重信によって砦が築かれました。その後、城主の交代や城郭の改良を経て、戦国時代には三村氏が城下町を建設しました。江戸時代に入ると、小堀正次とその子・政一によって城下町が本格的に整備され、内山下もその一部として発展しました。その後、池田氏、水谷氏、安藤氏、石川氏、板倉氏と藩主が交代しましたが、城下町は整備・拡大を続けました。

江戸時代の内山下

江戸時代には、内山下に藩主の居館である御下屋敷（または尾根小屋）が置かれ、事実上の藩庁として機能していました。周囲には上級家臣の武家屋敷が立ち並び、武家町の一部を形成していました。また、内山下は松山から南部、北部、西部へと続く各街道の起点でもあり、城下町の中枢部として重要な役割を果たしていました。御下屋敷は現在の岡山県立高梁高等学校の場所にありましたが、明治6年に取り壊され、その跡地には明治28年に高梁中学校（現・高梁高校）が建設されました。現在でも、石垣や一部の遺構が残っています。

地名の由来

「山下（さんげ）」とは、城下町において城郭とその周辺部を指す言葉です。松山城下では、備中松山城本丸のある小松山とその麓の一帯を指していました。内山下は、その中でも城や御下御殿に近い場所であるため、「山下の中枢」「山下の内側」という意味で名付けられました。なお、内山下の呼称は通称であり、当時は「本丁（ほんちょう）」が正式な地名でした。明治時代になり、本丁は正式に内山下へと改称されました。

年表

1240年：秋庭三郎重信が臥牛山に砦を築く
戦国時代：三村氏が城下町を建設
江戸時代：小堀氏により城下町が本格的に整備
明治6年：御下屋敷が取り壊される
明治28年：高梁中学校（現・高梁高校）が建設
明治時代：本丁が内山下に改称

地勢

山岳

臥牛山
小松山

河川

小高下川

主要施設

教育施設

岡山県立高梁高等学校
方谷學舎高等学校

一般企業・商店

前保石材工務店

神社仏閣

八重籬神社

史跡

備中松山城
御下屋敷（尾根小屋）跡

交通

旧街道

新見往来
松山往来
東城往来

参考文献

『県別マップル岡山県道路地図』昭文社（2013年）
巌津政右衛門 『岡山地名事典』日本文教出版社（1974年）
下中直也 『日本歴史地名体系三四巻　岡山県の地名』平凡社（1981年）
地名をあるく 77.臥牛山 - 高梁市公式ホームページ（2013年12月閲覧）

関連項目

松山城 (備中国)
備中松山藩
臥牛山

外部リンク

高梁市

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