内山真弓

内山真弓は、天明6年（1786年）に信濃国安曇郡十日市場村（現在の長野県北[[安曇郡]]池田町）に生まれました。幼名は国章、通称を理兵衛といい、眉生、聚芳園といった別号も用いました。彼は、江戸時代後期の国学者、そして歌人として知られています。

幼少の頃、池田学問所に入り、漢学の基礎を学びました。文化7年（1810年）には京都へ上洛し、歌道に深く傾倒するようになります。そこで、当時著名な歌人であった香川景樹とその子息から和歌の指導を受けました。

天保10年（1839年）には江戸へ出て、高島章貞と共に桂園派の歌風を広める活動に携わりました。その後、天保13年（1842年）に故郷へ戻り、安曇野における桂園派の中心的な存在として活躍します。また、私塾「聚芳園」を開き、後進の育成にも力を注ぎました。

内山真弓の功績として特筆すべきは、師である香川景樹が没した翌年の天保14年（1843年）に著した『歌学提要』です。これは、桂園派の歌論を体系的にまとめた唯一の書であり、後世の歌論に大きな影響を与えたとされています。彼の学識と歌才は、没後も長く語り継がれ、その足跡は川会神社の境内に建てられた歌碑によって今も偲ぶことができます。

内山真弓は、歌人としての才能に加え、教育者としても優れた手腕を発揮しました。私塾「聚芳園」では、和歌のみならず、国学全般にわたる幅広い知識を教授し、多くの人材を育成しました。彼の教えを受けた門下生たちは、各地で活躍し、日本の文化の発展に大きく貢献しました。

内山真弓が残した著作には、『歌学提要』の他に、歌集である『東塢鶴聲』や、講義録である『東塢塾中聞書』、『桂園紀聞』、『榜示杭』、『帰路日記』、『壇落葉』、『聚芳園随筆』、『吾嬬紀行』、『新来』、『家鶏一聲』、『古鏡伝』、『詠藻日記』、『真袖の記』などがあります。これらの著作は、彼の幅広い知識と豊かな感性を今に伝えています。

内山真弓の研究は、矢ヶ崎栄次郎編著『歌人内山真弓』、石川貞雄著『郷土歴史人物事典 長野』、西尾光次著『信州桂園派の変遷』などに詳しい記述が見られます。これらの文献を通じて、内山真弓の生涯と業績を深く理解することができます。

彼の生涯は、激動の時代の中で、和歌と国学の発展に尽力した一人の学者の姿を私たちに教えてくれます。内山真弓は、その才能と情熱をもって、後世に大きな遺産を残した人物として、記憶されるべきでしょう。

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