内山英明

内山英明：光と影を捉えた写真家

内山英明（1949年 - 2014年4月14日）は、日本の写真家であり、その作品は旅役者の姿から都市の深部に至るまで、幅広いテーマを扱いました。彼の写真は、被写体への深い洞察と、それを表現する卓越した技術によって、多くの人々に感動を与えました。

生涯とキャリア

静岡県菊川市に生まれた内山は、1976年に東京総合写真専門学校を中退後、日本各地を旅しながら、旅役者や傀儡子の姿をカメラに収めました。これらの初期の作品には、日本の伝統文化に対する深い敬意と愛情が込められています。

1981年からは、『アサヒグラフ』誌上で連載を開始し、若手の作家や音楽家などの肖像写真を撮影しました。特に、歌人の俵万智とは、『サラダ記念日』刊行前から親交があり、彼女の自然な姿を捉えた写真は、多くの読者の共感を呼びました。俵万智の瑞々しい感性を写真で見事に表現し、彼女の魅力を引き出した功績は大きいでしょう。

1993年以降、内山は東京の地下施設に強い関心を抱き、国内都市の地下世界を撮影するようになります。この時期から、「地下写真」という新たなジャンルを確立し、ムーブメントを巻き起こしました。彼の地下写真は、普段私たちが目にすることのない都市の深層を露わにし、その異質な空間に潜む美しさや神秘性を描き出しました。

2000年には、『JAPAN UNDERGROUND 地下の迷宮 II』で伊奈信男賞を受賞。2006年には、『Japan underground 3』などで土門拳賞を受賞するなど、その才能は高く評価されました。

2014年4月14日、脳出血のため川崎市の自宅で逝去。65歳という若さでした。

主な作品

内山の作品は、写真集として多数出版されています。

『島国へ帰る』吉岡忍 徳間書店 1989
『俵万智 等身大の青春 内山英明写真集』深夜叢書社 1989
『ふるさとの風の中には 詩人の風景を歩く』俵万智 河出書房新社 1992
『都市は浮遊する』吉岡忍文 講談社 1993
『いつか晴れた海で エイズと平田豊の道程』吉岡忍文 読売新聞社 1994
『Japan underground. 2』アスペクト 2003
『Japan underground. 3』アスペクト 2005
『東京デーモン』アスペクト 2005
『トーキョー・アンダー』杉江松恋文 グラフィック社 2006
『東京エデン』アスペクト 2007
* 『Japan underground. 4』アスペクト 2008

これらの写真集は、内山の多岐にわたるテーマへの関心と、卓越した写真技術を今に伝えています。

評価と影響

内山英明は、日本の写真界において、独自の地位を確立しました。彼の写真は、単なる記録にとどまらず、被写体への深い愛情と洞察、そしてそれを表現する卓越した技術によって、多くの人々に感動を与えました。特に、都市の地下世界を捉えた作品は、それまで光が当たる事のなかった場所に新たな光を当て、多くの人々に新たな視点を提供しました。

彼の作品は、これからも多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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