内村正則

内村正則氏：実業家であり名馬を育てた馬主

内村正則氏は、1929年生まれの実業家であり、馬主としてもその名を知られています。1960年にゴム製品製造会社、東海パッキング工業株式会社を大阪市で創業。事業を成功させる一方で、馬主としても数々の名馬を所有し、競馬界に多大な貢献をしてきました。

馬主としての活動

内村氏は、日本中央競馬会（JRA）に登録する馬主として、「トウカイ」の冠名で知られています。勝負服は白地に青山形一本輪、桃色の袖が特徴です。多くの所有馬は、かつて松元省一厩舎に預託されていました。

馬主となるきっかけは、会社の経営者たちと生産牧場を訪れた際、馬の所有を勧められたことでした。そこで出会ったのが、後に自身の基礎牝馬となるトウカイクインでした。トウカイクインが、東京優駿を制した名牝ヒサトモの血を引いていることを知ると、「この血統を絶やしてはならない」という強い思いから、自身の牧場で血統を拡大させることを決意しました。この決断が、後にトウカイローマンやトウカイナチュラルといった名馬を輩出することに繋がります。一時、消滅寸前であったヒサトモの牝系を復興させた功績は非常に大きいと言えるでしょう。

2008年には、親交の深かった二風谷ファームの稲原敬三氏が亡くなったことや、懇意にしていた調教師の引退などが重なり、以前のような大規模な馬主活動が困難になったため、所有馬を整理しました。2014年には、最後のトウカイテイオー産駒であったトウカイフォーゲルも繁殖牝馬にすることなく譲渡しています。しかし、2023年現在も馬主活動は継続しており、競馬への情熱は衰えていません。

「トウカイ」の由来

内村氏が経営する会社名であり、馬の冠名にもなっている「トウカイ」は、主に東海地方の取引先との事業が成功したことに由来しています。この名前は、内村氏の事業と競馬への情熱を象徴するものとなっています。

馬主としての軌跡

1970年に馬主資格を取得後、同年11月にはトウカイクインが山科特別で初勝利を飾りました。その後、1984年にはトウカイローマンが優駿牝馬（オークス）を制覇し、重賞競走およびGI競走で初の勝利を手にしました。そして、1991年にはトウカイテイオーが東京優駿（日本ダービー）を制し、悲願のダービーオーナーとなりました。この勝利は、内村氏にとって忘れられない瞬間だったに違いありません。

主な所有馬

内村氏の主な所有馬としては、以下のような名馬たちが挙げられます。

GI級競走優勝馬

トウカイローマン（1984年優駿牝馬、1987年京都大賞典）
トウカイテイオー（1991年皐月賞、東京優駿、1992年ジャパンカップ、産経大阪杯、1993年有馬記念）
トウカイポイント（2002年マイルチャンピオンシップ、中山記念）

重賞競走優勝馬

トウカイタロー（1996年新潟記念）
トウカイオーザ（2001年アルゼンチン共和国杯）
トウカイパルサー（2002年愛知杯）
トウカイワイルド（2007年日経新春杯）
トウカイトリック（2007年ダイヤモンドステークス、2010年阪神大賞典、2012年ステイヤーズステークス）
トウカイミステリー（2011年北九州記念）

その他の所有馬

トウカイパレス（1995年菊花賞2着）
トウカイエリート（2007年日経新春杯2着、種牡馬）
トウカイパラダイス（2012年目黒記念2着、誘導馬）

これらの馬たちは、内村氏の競馬に対する情熱と、馬への深い愛情によって育てられ、数々の感動を与えてくれました。内村正則氏は、実業家として成功を収める一方で、馬主としても競馬界に大きな足跡を残した人物として、今後も語り継がれることでしょう。

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