内浦湾地震

内浦湾地震（2016年）の詳細解説

2016年6月16日14時21分頃、北海道南部の内浦湾を震源とする地震が発生しました。この地震はマグニチュード5.3と規模はそれほど大きくありませんでしたが、震源の深さが約11kmと浅かったため、震源付近では非常に強い揺れが観測されました。

地震の概要

• - 発生日時: 2016年6月16日14時21分頃
• - 震源地: 北海道内浦湾
• - マグニチュード: 5.3
• - 最大震度: 6弱
• - 震源の深さ: 約11km

被害状況

最大震度6弱を観測した函館市川汲町を中心に、被害が発生しました。函館市では軽傷者が1名、住家の一部破損が3棟報告されています。地震発生後には余震も発生し、一時的に避難所が開設され、住民が避難する事態となりました。

緊急地震速報

気象庁は、この地震に対して緊急地震速報を発表しました。対象地域は北海道の渡島地方、胆振地方、檜山地方、後志地方（西部）、石狩地方（南部）、そして青森県の下北、三八上北、津軽（北部）でした。

発震機構

地震の発震機構は、北東-南西方向に圧力軸を持つ逆断層型と推定されています。Hi-netおよびF-netの解析によれば、横ずれ成分を含む逆断層型である可能性も示唆されています。

地殻変動

国土地理院の電子基準点データ解析では、この地震による有意な地殻変動は検出されませんでした。

地震活動の状況

この地震が発生する以前から、震源付近ではまとまった地震活動が見られており、地震活動は7月以降も継続しました。過去にもこの地域では、1978年から1982年にかけての函館沖、1995年から1997年頃にかけての松前沖で、同様の規模の地震がまとまって発生する傾向がありました。

海上保安庁の対応

海上保安庁は、地震発生から3分後の14時24分に首相対策室・海上保安庁対策本部を設置し、巡視艇や航空機による被害情報調査、各種協議・調査を開始しました。17時45分までにすべての協議・調査を終了しました。

各地の震度

• - 震度6弱: 函館市川汲町
• - 震度5弱: 函館市泊町

函館市で震度6弱が観測されたのは、観測史上初めてのことでした。北海道で震度6弱が観測されたのは、2003年の十勝沖地震以来となります。

震度分布の特徴

気象庁の推計震度分布図では、震度6弱の領域はごくわずかでした。一方、函館地方気象台（函館市美原）では、計測震度が3.1（震度3相当）でした。これは、この地震が短周期の地震波が卓越した地震であったためです。京都大学の境有紀氏の研究によると、短周期の地震波が卓越する地震では、高震度が計測されやすい傾向があります。境氏は、実際の建造物の被害を考慮すると、この地震では震度5弱程度に相当すると指摘しています。

この地震は、局地的な強い揺れと、短周期の地震波による震度観測の難しさを浮き彫りにしました。今後の地震対策において、短周期地震波への対応と、建造物の被害を考慮した震度評価が重要であることを示唆しています。

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