内海清温

内海清温



内海清温(うつみ きよはる)は、1890年明治23年)12月6日鳥取県で生まれ、1984年昭和59年)3月9日に亡くなった、大正から昭和にかけての土木工学者、内務官僚です。

生涯



第一高等学校を経て、1915年大正4年)に東京帝国大学工科大学土木工学科を卒業後、内務省に入省しました。江戸川改修事務所では、江戸川分流頭首工事を担当しました。1919年大正8年)に内務省を退官し、朝鮮に渡り、電気化学工業(現デンカ)で発電水力調査に従事しました。朝鮮での10万kW級水力発電所の建設可能性調査を行い、帰国後は宮崎県の大淀川水力発電所建設所長として、1万5千kWと3万kWの発電所を建設しました。

1927年昭和2年)には独立し、水力コンサルタントを開業しました。青森県、宮城県、福島県などの各県や、黒部川電力、越後電力、山陽中央水電、雄谷川電力などの電力会社、横須賀市兵庫県阪神上水道調査、大阪府営水道調査、埼玉県水利資源調査など、多岐にわたる顧問を務めました。また、東京帝国大学、早稲田大学日本大学で水力発電工学の講師として教鞭を執り、特に東京帝国大学工学部土木工学科では15年間(1936年~)教壇に立ち、畑野正、生出久也、石上立夫など、多くの後進を育てました。

1937年昭和12年)には富士川電力(日本軽金属の前身)に入社し、取締役土木部長として富士川水力発電所10万kW建設に従事しました。1939年昭和14年)には日本軽金属取締役電力建設部長に転じ、その後、日本発送電建設局土木建設部長、土木局長、建設局長を歴任しました。1945年昭和20年)7月には、建設技術研究所を創立し、所長に就任しました。この研究所では、熊川信之、林栄港、谷田沢正治、梅田昌郎などの人材を育成しました。1948年昭和23年)10月には研究所理事長に転じ、建設機械化協会副会長および会長を経て、1956年昭和31年)8月には電源開発総裁に就任しました。電源開発総裁時代には、佐久間発電所に続き、奥只見、田子倉、御母衣などの大規模水力発電所の建設を指揮し、日本の電力開発に大きく貢献しました。1957年昭和32年)6月には土木学会会長に就任しました。

内海清温は、クリスチャンとしても社会福祉活動に尽力し、日本心身障害者協会理事長も務めました。

1984年昭和59年)3月9日、自宅にて生涯を閉じました。


受賞・栄典



1942年昭和17年):土木学会
1966年昭和41年)5月:土木学会功績賞
1955年(昭和30年):藍綬褒章
1984年昭和59年)3月9日正四位


主な参考文献



稲松敏夫「電力土木の歴史 第2編電力土木人物史 (その3)」(『土木史研究』第15巻、1995年)
高橋裕、藤井肇男 共著『近代日本土木人物事典: 国土を築いた人々』(鹿島出版会、2013年)

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