内田恵太郎

内田恵太郎

内田恵太郎（1896年12月27日 - 1982年3月3日）は、日本の著名な魚類学者です。東京神田小川町駿河下で生まれ、第一高等学校を経て、東京帝国大学農学部水産学科を卒業しました。彼の研究は、日本の魚類学に多大な貢献をもたらしました。

経歴

内田は、東京帝国大学卒業後、同大学の講師として教鞭を執りました。その後、朝鮮総督府水産試験場の技師として研究に従事し、1942年には九州帝国大学農学部教授に就任しました。戦後、1947年には『朝鮮魚類誌』を九州大学に提出し、農学博士の学位を取得。九州大学付属水産実験所の所長としても活躍し、後進の育成に尽力しました。定年退官後は、九州大学名誉教授としてその功績を讃えられました。

研究内容・業績

内田の主な研究テーマは、魚類の生活史に関するものでした。彼は、魚類の稚魚期、成長、繁殖など、魚類の一生にわたる生態を詳細に研究しました。その研究成果は、多くの論文や著書として発表され、水産学の発展に大きく貢献しました。特に、流れ藻と稚魚の関係に関する研究は、当時の水産学において画期的であり、その後の研究に大きな影響を与えました。

受賞・栄典

内田の業績は、数々の賞によって認められました。1942年には朝鮮文化功労賞、1961年には西日本文化賞を受賞しています。これらの受賞は、彼の卓越した研究能力と学術への貢献を物語っています。

家族・親族

内田の親族には、内田清之助、内田勇三郎といった著名な人物がおり、彼らとは従兄弟の関係にありました。

著書

内田は多くの著書を執筆し、魚類に関する知識を広く一般に普及させました。主な著書には以下のようなものがあります。

『万有科学大系 第9篇 海の生物』（1928年）
『さかな 日常生活と魚類』（1956年）
『稚魚を求めて ある研究自叙伝』（1964年）
『さかな異名抄』（1966年）
『流れ藻』（1972年）
『私の魚博物誌』（1979年）
『流れ藻 内田恵太郎歌文集』（1983年、編著）

これらの著書は、専門家だけでなく一般の人々にも魚類の生態や魅力を伝える上で重要な役割を果たしました。

共著

『魚の世界・獣の世界』（1928年、岸田久吉との共著）

博士論文

『朝鮮魚類誌』（1947年）

論文

内田は、数多くの学術論文を発表しており、その研究成果は国内外の学会で高く評価されました。以下は、彼の代表的な論文の一部です。

「魚類及び他の水産動物の跳躍並びに飛行について」（1923年）
「イシダイの稚魚における斑紋の形成及び習性について」（1926年）
「カハハギ科の魚数種の稚魚及び習性について」（1927年）
「相模湾より得たるカライワシのLeptocephalus型幼魚に就いて」（1927年）
「アヰゴの生活史竝に斑紋の變化に就いて」（1932年）
「マツカサウヲの幼期」（1932年）
「ヘコアユの幼期」（1933年）
「カウライオヤニラミの生活史」（1935年）
「サヨリとクルメサヨリとの種の異同に就て」（1936年）
「魚類に於ける擬態の数例」（1951年）
「アカカマスの卵発生と仔魚前期」（1957年、庄島洋一, 藤田矢郎との共著）
「流れ藻に関する研究・流れ藻に伴う稚仔魚-I」（1958年、庄島洋一との共著）
「ブリの産卵および初期生活史」（1958年、道津喜衛, 水戸敏, 中原宮太郎との共著）
「フグという奇妙な魚」（1968年）
「マンボウの話」（1968年）
* 「クルメサヨリ」（1975年）

これらの論文は、魚類の生態や行動に関する理解を深める上で非常に重要な貢献をしています。

内田恵太郎は、日本の魚類学の発展に多大な貢献を果たした偉大な学者であり、その研究は現在も多くの研究者に影響を与え続けています。彼の業績は、今後も長く語り継がれるでしょう。

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