内藤正人

内藤正人略歴と業績

内藤正人（ないとう まさと）は、1963年生まれの美術史研究者であり、現在は慶應義塾大学文学部で教授を務めています。彼の専門は江戸時代の浮世絵や琳派であり、その豊かな文化を研究し続けています。また、現代における日本のサブカルチャー、「絵師」に関する評論も手掛けており、特に産経新聞社発行の「絵師100人展」図録などでその意見を発表しています。

学歴と経歴

内藤は愛知県名古屋市で生まれ、1982年に愛知県立千種高等学校を卒業しました。その後、1986年に慶應義塾大学文学部史学科の国史学専攻を卒業し、1988年には同大学院文学研究科哲学専攻の修士課程を修了しました。さらに2005年には慶應義塾大学から博士（美学）の学位を取得しました。

彼は出光美術館で主任学芸員を経て、慶應義塾大学文学部で教鞭を取っています。現在は慶應義塾大学アート・センターの所長と公益財団法人氏家浮世絵コレクションの理事長の役職にも就いています。また、国際浮世絵学会の常任理事や国際博物館会議（ICOM）日本委員会の理事としても活動し、幅広いネットワークを築いています。

受賞歴

内藤正人は多くの業績が評価されており、受賞歴も豊富です。1993年に鹿島美術財団賞を受賞し、『北斎漫画の研究ーとくにその初編を中心に』という著書が高く評価されました。さらに2015年には第9回国際浮世絵学会賞を受賞し、浮世絵師である勝川春章や歌川広重に関する独創的な研究が評価されました。2020年には、第51回舞踊批評家協会特別賞を共同受賞し、慶應義塾大学アート・センターが貢献してきた国際舞踏に関する業績が認められました。

主な著作

内藤は多くの著書や編著書を持ち、その中には『歌川国芳』（1998年）、『色競　未公開肉筆画帖』（2000年）、『江戸名所図屏風　大江戸劇場の幕が開く』（2003年）、『浮世絵再発見　大名たちが愛でた逸品・絶品』（2005年）、『北斎の作品シリーズ』などがあります。特に『浮世絵とパトロン　天皇・将軍・大名の愛した名品たち』（2014年）は、浮世絵の背後にある深い人間関係と文化的価値を探求した重要な著作とされています。

最近では『江戸の人気浮世絵師　俗とアートを究めた15人』（2012年）や『うき世と浮世絵』（2017年）などがあり、多様な視点から江戸時代のアートシーンを紹介しています。また、2022年には、中国語版として『江戸时代的人气浮世绘画师』を出版し、国際的な視野からもその影響を広げています。

研究の意義

内藤正人の研究は、古典的な美術史を基盤にしながらも、現代のサブカルチャーとの関連を探求することにより、浮世絵という日本の伝統的なアートがどのように現代に生き続けているのかを考察しています。その視点は、古き良き日本文化への洞察を深めると共に、新しい時代のアートシーンにも光をあてています。

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