内藤義孝

内藤義孝（ないとう よしたか）は、江戸時代前期から中期にかけての大名であり、陸奥国磐城平藩の第4代藩主として知られています。また、俳人としても才能を発揮し、「露江」の俳号で知られています。

生涯

内藤義孝は、磐城平藩の第3代藩主・内藤義概の三男として生まれました。母は三条実秀の娘です。長兄の義邦が早世し、次兄の義英も病弱であったことや、父・義概が義孝を藩主にしたいという意向を持っていたことから、義孝が世子に選ばれました。

1685年（貞享2年）に父・義概が死去したため、家督を継ぎ、磐城平藩の第4代藩主となりました。義孝は父や次兄と同じく俳諧に興味を持ち、自らも「露江」と号して優れた俳句を多く残しました。しかし、父のように俳句に耽溺することはなく、藩政にも積極的に関わりました。特に、父の時代に専横を極めていた松賀一派を抑制し、藩政の安定化に努めました。元禄8年（1695年）には、湯本神社の建設を推進するなど、藩政の安定化に尽力しました。

これらの功績から、義孝は初代藩主・内藤政長に次ぐ名君と称されることもありました。しかし、一方で『土芥寇讎記』には、義孝が「文も学ばず武も学ばず、武芸にも励まず、朝夕猿楽にのめり込んでいる」と批判的に記述されており、その影響で家臣たちも武芸を疎かにし、猿楽に熱中していたとされています。このため、同書では「主将の器とするには足りず」と評価されています。また、同書では父・義概についても「酒宴を好み、女色に耽る」と評されています。

正徳2年（1712年）に病のため44歳で死去しました。跡は次男の義稠が継ぎました。

文化財

義孝が所用したとされる「紺糸素懸縅二枚胴具足」は、現在も宮崎県延岡市の文化財として保存されており、その歴史を今に伝えています。

系譜

父母
父：内藤義概
母：三条実秀の娘
正室
土屋政直の娘
子女
長男：内藤義覚
次男：内藤義稠（生母は正室）
* 娘：松平信岑正室

内藤義孝は、藩主として藩政を安定させ、また俳人としても才能を発揮した人物でした。文化的な活動に傾倒しつつも、藩政を疎かにしなかったバランス感覚は、彼の人物像を多面的に物語っています。

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