内藤義概

内藤義概

内藤義概（ないとう よしむね）は、江戸時代前期に陸奥国磐城平藩を治めた第3代藩主であり、延岡藩内藤家宗家の3代目にあたります。初名は頼長。従四位下・左京大夫の官位を有しました。

生涯

元和5年（1619年）に2代藩主・内藤忠興の長男として誕生。寛文10年（1670年）に父の隠居により家督を継ぎました。この際、弟の遠山政亮に1万石を分与し、湯本藩（後の湯長谷藩）を立藩させています。

藩主として

藩主としては、領内に防風林を植樹したり、仏閣や寺社の再建に尽力するなど、領内の整備に努めました。また、文化人としても知られ、奥州俳壇の始祖と呼ばれるほど俳句に造詣が深く、和歌にも秀でていました。「夜の錦」、「桜川」、「信太の浮鳥」、「六百番俳諧発句集」、「六百番勝負付」、「七十番句会」など、多くの著作を残しています。儒学者の葛山為篤に命じて『磐城風土記』を編纂させたことや、近世箏曲の父と呼ばれる八橋検校を専属の音楽家として召し抱えたことからも、文化振興に力を注いだことがうかがえます。八橋検校の作品には、義概が作詞したとされる曲も存在します。

小姓騒動

晩年は、家督争いである「小姓騒動」が勃発します。義概には義英、義孝という二人の息子がおり、当初は義英が後継者候補でした。しかし、晩年の義概は俳句に耽溺するあまり藩政を顧みなくなり、小姓出身の家老・松賀族之助に実権を委ねるようになります。松賀は権勢を笠に着て重税を課し、私腹を肥やしました。

野心家の松賀は、自らの息子を藩主に据えようと画策し、妻を義概の側室として差し出します。松賀は、義英を讒言によって廃嫡に追い込み、さらには義孝をも暗殺しようと企てますが、延宝8年（1680年）に松賀の専横を憎む小姓衆によって松賀の腹心が殺害され、計画は頓挫。一連の騒動は「小姓騒動」と呼ばれ、関係者は処罰されました。

死

貞享2年（1685年）9月19日に死去。享年67。跡は義孝が継ぎました。辞世は「春秋の、詠めもけふは、つきはてぬ。我世暮れゆく、鐘の響きに。」

系譜

父：内藤忠興
母：香具姫（小山田信茂の孫）
正室：松平忠国の娘
長男：内藤義邦
次男：内藤義英
長女：早世
次女：ふし姫（小出英安正室）
三女：梅姫（岡部長泰正室）
継室：三条実秀の娘
三男：内藤義孝（磐城平藩4代藩主）
側室：松賀族之助の娘
養女：通姫（平岡頼重に嫁ぐ）


内藤義概は、文化人としての側面と、家督争いという政治的な側面を持ち合わせた人物でした。

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