内藤耻叟

内藤耻叟

内藤耻叟（ないとう ちそう、文政10年9月25日（1827年11月15日） - 明治36年（1903年）6月7日）は、明治時代に活躍した歴史家です。本名は正直（まさなお）。後期水戸学の思想と学風を堅持し、提唱し続けました。

生涯

文政10年（1827年）、常陸国（現在の茨城県）水戸南町に美濃部茂政の二男として生まれました。その後、水戸藩士である内藤氏を継ぎます。

天保12年（1841年）には藩校である弘道館に入り、会沢正志斎や藤田東湖らに師事しました。幼少期の徳川慶喜の学問の相手も務めたとされています。安政6年（1859年）には、藩内の論争に巻き込まれ、謹慎と隠居を命じられます。しかし、後に天狗党鎮圧に加わった功績により、慶応元年（1865年）に弘道館教授に任ぜられました。しかし、翌年には再び藩内の論争に巻き込まれて入獄し、幕末期の混乱に乗じて水戸を脱出し、放浪生活を送ることになります。

明治3年（1870年）に山形県（府藩県三治制の県）の職員となり、明治11年（1878年）には東京府に新設された小石川区の区長に就任しました。明治14年（1881年）には群馬県中学校（現在の群馬県立前橋高等学校）の校長に任ぜられ、再び教育に携わるようになります。

明治17年（1884年）、東京大学講師に就任。明治19年（1886年）からは帝国大学文科大学教授として、経学、日本史、支那歴史、支那哲学、漢文学、和漢古代法制などの科目を担当しました。明治24年（1891年）に非職となり、明治22年から24年の間には陸軍教授を兼任しています。

明治36年（1903年）、中風のため東京小石川で死去。77歳でした。

業績と著書

内藤耻叟は、歴史家として多くの著書を著しました。代表的なものとして、『徳川十五代史』『安政紀事』などがあります。また、支那文学に関する著作も多く、四書や孝経などの講義録も残っています。

支那文学全書「四書講義 上巻　大学 中庸 論語」内藤耻叟講述 博文館
支那文学全書「四書講義 下巻　孟子」内藤耻叟講述 博文館
支那文学全書「小学 孝経 忠経 講義」 内藤耻叟講述 博文館
支那文学全書「近思録講義」 内藤耻叟講述 博文館
「徳川十五代史」内藤耻叟講述 博文館

人物

内藤耻叟は、激動の時代を生きた人物であり、藩内の争いに巻き込まれたり、放浪生活を送ったりするなど、波乱万丈な人生を送りました。しかし、どのような状況にあっても、学問に対する情熱を失うことなく、後進の育成に尽力しました。彼の思想と学風は、後世に大きな影響を与えています。

関連項目

美濃部又五郎 - 実兄。
内藤湖南
水戸学

もう一度検索