内閣 (イギリス)

イギリスの内閣：権力の中枢と政権交代

イギリス政府の最高意思決定機関である内閣は、首相と約20名の上級閣僚から構成されています。立憲君主制の下、国王の政府として機能し、議会（下院と上院）と緊密に連携して議院内閣制を形成しています。内閣は、国家の重要な政策決定を行い、その運営は首相が中心となって行われます。

内閣の意思決定と構成

内閣の閣議は通常、毎週火曜日の午前中に首相官邸で開催されます。首相が議長を務め、主要な政策について議論が行われます。効率性を高めるため、特定の政策分野については関係閣僚のみが集まる内閣委員会も開催され、その決定は閣議の決定と同等の権威を持ちます。

イギリスの内閣は、上級大臣と下級大臣から構成されます。上級大臣は、首相、財務大臣、大法官、国務大臣など主要な閣僚であり、内閣の中枢を担います。下級大臣は上級大臣を補佐する役割を担い、政策実施を支援します。

閣僚の役割と分類

首相は、内閣のトップであり、政府全体の運営を統括します。国王によって任命され、通常は下院第一党の党首が就任します。首相は、大臣の任免、閣議の主宰、政府全体の業務を国王に報告するなど、幅広い権限を持ちます。

上級大臣には、財務大臣、大法官、国務大臣が含まれます。他に枢密院議長、王璽尚書、ランカスター公領大臣なども、首相の判断で内閣に加わる場合があります。

下級大臣には、担当大臣、政務次官、政務官などが含まれます。彼らは省庁に所属し、上級大臣を補佐する役割を担っています。

その他の大臣には、法務官（政府の法律顧問）や院内幹事（議会の運営を支援）が含まれます。法務官は政府に法律上の助言を行い、院内幹事は与党議員の意思統一などを図ります。

2024年総選挙と政権交代

2024年7月4日の総選挙では、保守党が労働党に敗北し、14年ぶりに政権交代が行われました。これにより、スナク内閣は退陣し、新たな労働党政権が発足しました。

内閣と省庁の関係

イギリスの各省庁には、閣僚（上級大臣または下級大臣）と政務次官などが配置され、政策の立案と実施が行われます。内閣府は、首相と内閣を補佐し、省庁間の調整や内閣の広報活動などを担っています。

内閣の規模と大臣の任命

内閣の規模（大臣の数）は公式には上限がありませんが、給与の支給数には制限があります。大臣は国王によって任命されますが、実質的には首相が決定します。

参考文献

濱野雄太 (2010-02) 『英国の省における大臣・特別顧問』国立国会図書館
田中嘉彦 (2011-12) 『英国における内閣の機能と補佐機構』国立国会図書館
濱野雄太 (2011-12) 『英国キャメロン連立内閣の政権運営』国立国会図書館
国立国会図書館調査及び立法考査局『英国の内閣執務提要』
* 田中嘉彦 (2016-03) 『英国における行政システムとガバナンス』国立国会図書館

まとめ

イギリスの内閣は、首相を中心とした合議制の政府機関であり、議会と協力して国家運営を行っています。上級大臣と下級大臣から成り、それぞれの役割を分担することで効率的な行政運営を実現しています。2024年の総選挙による政権交代は、イギリスの民主主義の象徴的な出来事と言えるでしょう。今後のイギリス政治において、新政権がどのような政策を展開していくのか、注目が集まります。

もう一度検索