内閣総理大臣専用車

内閣総理大臣専用車

内閣総理大臣専用車は、日本の首相が公務や私用で使用するための専用車両であり、特にその安全性と特別な仕様が特徴です。他国のように運転席と後部座席の間に隔壁は設けられておらず、直接コミュニケーションを取ることが可能です。

使用される車両

現在、専用車として利用されているのはトヨタ自動車が製造した「センチュリー」と「レクサスLS600hL」の2種類です。首相が出発する際には必ずこの専用車を使用し、警視庁のSPによる警護が行われます。この専用車は、防弾ガラスと特殊鋼で強化された装甲が施されており、安全性が重視されていますが、詳細な仕様はセキュリティ上の理由から公開されていません。

また、専用車のデザインには青色のLED識別灯が装備されており、首相が乗車している際にはその灯が点灯されるため、周囲に特別な警戒が発信されます。

車両の運行

運転手は内閣官邸の職員であり、新総理大臣が任命される際に運転手も交代します。この専用車は公用・私用問わず使用され、ナンバープレートには特定のキリ番が付与されています。特に、2000や3000などの番号が多いですが、3800のナンバーも使用されています。特に通常は単独で移動することはなく、関連する警護車両とともに車列を形成します。この車列は、少なくとも3台で構成され、首相専用車、SPキャップが同乗する警護車、前後の警護車の3台が基本となります。

警護の特別措置

移動中、総理大臣が安全に移動できるよう、信号機が青になることはほとんどありませんが、危険が予知される場合は警護車からの指示で一般車両を規制することがあります。そのため、万が一危険が及ぶ場合には、警察の緊急自動車との連携で、安全を確保します。

警護体制と歴史

過去の首相専用車は非常に多様で、戦前はベンツやパッカード、クライスラーなどの外車も用いられていました。戦後はアメリカ車が主に使用されましたが、1960年代から国産車への切り替えが始まり、やがてトヨタの「センチュリー」が採用されるようになりました。

特に1963年には、ケネディ大統領暗殺事件を契機に総理専用車の安全性が特に重視され、本格的に防弾車両が導入されました。1972年には、佐藤栄作内閣の時に私費で防弾仕様のセンチュリーを発注した事例があり、これ以降も専用車の安全対策が進化しています。

現代の運用

近年では、環境問題への配慮から、より低燃費でCO2排出量の少ない「レクサスLS600hL」が導入されており、複数の車両が交互に使用されています。また、総理大臣が海外へ移動する際には、その国の在外公館の車両も利用され、適切な警護が行われています。

このように内閣総理大臣専用車は、その運用、歴史、そして安全対策において常に進化を続けています。

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