円城寺満

円城寺 満の業績と野球界への影響

円城寺 満（えんじょうじ みつる、1908年3月16日 - 1983年7月13日）は、1940年代から1960年代にかけて日本のプロ野球界で活動した審判員で、多くの印象的なエピソードを持つ人物です。特に彼の審判としての経験には、数々の事件や論争が含まれており、その影響は今なお語り継がれています。

若き日の活躍

円城寺は、大連商業に在学中、夏の甲子園でエースとして出場し、準優勝を果たしました。この時のベンチコーチは湯浅禎夫氏であり、円城寺の才能が早くから見込まれていたことが伺えます。その後、法政大学に進学し、さらに成長を続けました。このような経験が、後の審判業務にも影響を与えたと言えるでしょう。

プロ野球界への進出

終戦後、プロ野球が再開されると、円城寺は東西対抗戦で審判としての活動を始めます。1946年には日本野球連盟に参加し、1950年には2リーグ制が導入後、セントラル・リーグに移籍しました。その後、1955年の二部制移行に伴い、関東エリアでの審判業務をこなしました。円城寺は1967年まで審判としてのキャリアを全うし、オールスターゲームや日本シリーズにも出場するなど、充実した時代を送りました。

日本シリーズにおける重要な判定

特に有名なのは、1961年の日本シリーズ第4戦における彼の判定です。この試合は後楽園球場で行われ、巨人対南海ホークスの対決の中で、9回裏二死満塁という場面が訪れました。南海がリードしている状況で、投手ジョー・スタンカはバッター宮本敏雄に対し、外角低めの球を投げました。この球を宮本が見送った際、捕手の野村克也は「ゲームセット」と思い、腰を浮かせましたが、円城寺はボールと判定しました。この判定は波紋を呼び、試合は続行され、その後宮本が逆転サヨナラヒットを放つ事態となりました。

試合終了後、南海の選手たちは円城寺に対し猛抗議を行い、彼を守る関係者たちとの緊張感が漂う中、円城寺は何とか球場を後にしました。この判定は、シリーズの分岐点として語り続けられることとなり、その後の円城寺のキャリアにも影響を与えることとなります。

最後の判定と引退

1967年の中日ドラゴンズ対巨人の試合で起こった判定も特筆すべきエピソードです。この試合では、円城寺は打者柴田勲の判定を誤り、最初はアウトとしながらも、抗議の結果セーフに訂正しました。この事態は大きな騒動に発展し、円城寺は試合の責任を感じ、ついにはこの試合を最後に引退することとなりました。

円城寺の判定や対応については、当時の選手や監督たちも振り返るものが多く、彼の影響力は計り知れません。特に南海の監督であった鶴岡一人は、その後の記録で円城寺の影響について考察を述べています。彼は円城寺の判断について「微妙なものであった」とし、同時に円城寺自身が責任を感じたことについても触れています。

まとめ

円城寺満は野球界における重要な人物であり、彼の審判としての出来事は日本野球の歴史に深く刻まれています。その経験や影響は、今もなおプロ野球界で語り継がれています。彼の判定の数々は、時に論争を引き起こし、時に球史に名を残すものとなりました。彼の足跡は、プロ野球における審判の重要性を再認識させるものであり、その存在はこれからも多くの人々によって記憶され続けることでしょう。

もう一度検索