円山大飯店

台北の象徴、円山大飯店：歴史と謎に包まれた中国宮殿風ホテル

台北市に位置する円山大飯店（Grand Hotel）は、その壮麗な中国建築で知られる高級ホテルです。剣潭公園に隣接し、かつて台湾神宮が鎮座していた地に建つことから、台北を代表するランドマークとして広く認知されています。

輝かしい歴史と幾多の変遷

1952年、台湾省敦睦聯誼会によって「台湾大飯店」として開業しました。その後、1968年にはアメリカの雑誌で世界10大ホテルに選出されるなど、その名声を高めていきます。1973年には14階建ての中国宮殿式メインホールが完成し、さらに壮麗な姿へと変貌を遂げました。しかし、1995年には屋根改修工事中の火災により、12階以上が全焼するという大きな損害を受けました。その後、修復工事を経て、1998年に12階から14階を復元し営業を再開しています。

中国建築の粋を集めた独特のデザイン

円山大飯店は、その建築様式においても独特の魅力を放っています。台湾神宮の跡地を利用して建設されたことにちなみ、いたるところに龍の彫刻が施され、「龍宮」の異名を持つほどです。さらに、石獅や梅花など、中国建築を象徴するモチーフがふんだんに取り入れられ、豪華絢爛な空間を創り出しています。

政治と密接に関連した歴史

円山大飯店は、台湾の政治とも深く関わってきた歴史を持っています。過去には、台湾を訪れた多くの海外要人を迎える場所として利用されてきました。その証として、ホテル地下には秘密の地下道が存在することで知られています。蔣介石政権時代に建設されたこの地下道は、長さ180メートルにも及ぶもので、1963年の改築時には東西2本の地下道が設けられ、滑り台も設置されていたという、興味深いエピソードも残されています。現在では、予約制で一般公開されており、その歴史の一端に触れることができます。

グローバル化への歩み

開業当初は、世界に冠たる中華民国一のホテルという方針から、英語や日本語によるサービスは提供されていませんでした。しかし、台湾の経済発展と国際情勢の変化に伴い、現在では英語や日本語での対応も可能になり、世界中から観光客が訪れる国際的なホテルへと進化を遂げています。また、かつてはギネスブックに「最も広いホテル・ロビー」として認定されていた、1,645平方メートルもの広さを誇るロビーも、円山大飯店を象徴する空間となっています。

アクセスと新たな発見

円山大飯店へは、台北捷運圓山駅と剣潭駅から無料のシャトルバスが運行されており、アクセスも容易です。また、近年では、蒋介石と宋美齢が逃走用に使用するため、1973年に設置された地下トンネルが一般公開されています。西側通路約85メートル、東側通路約70メートルのトンネルは、射撃戦も想定した複雑な構造となっており、歴史的建造物としての価値も高く評価されています。

円山大飯店：台北観光の新たな魅力

円山大飯店は、その豪華な中国建築、歴史的な背景、そして謎めいた地下道など、多くの魅力を併せ持つホテルです。台北を訪れる際は、ぜひ一度足を運び、その独特の世界観を体験してみてください。高雄にも支店があり、そちらも円山大飯店独自の雰囲気を楽しめます。

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