台北捷運

概要

台北捷運（タイペイしょううん）は、台湾の台北市とその周辺の新北市にまたがる地域で運行されている大衆捷運システム（地下鉄・新交通システム）です。正式名称は「台北都会区大衆捷運系統」といい、台北大衆捷運股份有限公司によって運営されています。一般的には「北捷」「台北MRT」「台北地下鉄」「台北メトロ」などと呼ばれています。

当初は全路線が自動案内軌条式旅客輸送システム（AGT）で運用される予定でしたが、見直しの結果、地下鉄、高架区間、そしてAGTが組み合わさった交通体系となりました。現在、文山線と内湖線（文湖線）のみがAGT（フランスのVALシステム採用）で、それ以外の路線は地下鉄と高架区間（軌間1435mm、第三軌条集電方式）で運行されています。

現在も路線網の拡大は続いており、台北市信義区や新北市中和区、永和区などで建設が進められています。今後10年以内には、台北市とその周辺のほぼ全域で鉄道ネットワークが完成する見込みです。また、台北車站、板橋、南港、松山（松山駅は台湾高速鉄道を除く）の各駅では、台湾鉄路管理局の西部幹線や台湾高速鉄道に乗り換えることができます。

車内アナウンスは、法令により、国語（北京語）、英語、台湾語、客家語の4ヶ国語で放送されます。元々は、国語、台湾語、客家語、英語の順でしたが、外国人観光客への対応として2015年12月7日に変更されました。ただし、駅によっては、国語と台湾語で表記が異なる（例：台大医院駅）場合や、地域慣習から発音が異なる（例：三重駅）場合もあります。

外国人観光客の中で日本人観光客が最も多いことから、2018年8月より一部主要駅で日本語での到着駅案内が追加されました。しかし、駅間が短いことから、放送が長すぎるとの意見も出ています。案内放送は、乗り換え路線の案内は含まれず、4ヶ国語の最後に駅名のみがアナウンスされます（例：台北101/世貿は「たいぺいいちまるいち せかいぼうえきセンター」）。

2023年8月1日からは、近年増加している韓国人観光客向けに、日本語に続き韓国語の案内も追加されました。また、既存の日本語案内についても放送対象駅が拡大されました。

改札内の制限エリアや車内での飲食・喫煙は禁止されており、違反すると過料が科せられます。改札内にあるトイレは、改札外からでも利用でき、窓口の係員に申し出れば入場料なしで借りることができます。

2007年5月1日より、中正紀念堂駅、古亭駅、剣潭駅、市政府駅の4駅でIC乗車券（トークン）の使用が開始され、順次全駅の自動改札機と自動券売機が交換され、IC化が完了しました。

2016年10月からは、それまで非公式に使用されてきた駅ナンバリングが、運行系統ごとに再編され、ラインカラーの頭文字+2桁の数字に統一されました。このナンバリングは、2017年5月に全路線全駅で切り替えが完了しました。また、2017年1月から、車内ドア上の電光案内表示も、行先や英語での到着駅表示の際に駅番号とラインカラーによる路線案内に変更されました。

2005年から開始されたホームドアの設置は、2018年9月末に全117駅で完了しました。

2020年2月1日からは、ICカード利用の一律20%割引が廃止され、代わりに月間利用回数に応じた割引が適用されるようになりました。

2023年6月以降、日本人や韓国人観光客の増加、高齢者・認知症患者への配慮から、全駅の駅名標の更新が進められています。第1段階として、既存の駅名の下に日本語と韓国語の表記が追加され、第2段階としてフォントが明朝体からゴシック体に変更されます。日本語・韓国語表記の追加は2024年9月末までに完了する見込みです。

路線一覧

台北捷運と新北捷運があり、淡海軽軌や三鶯線は台北捷運の計画路線図に併記されていますが、新北市政府捷運工程局による計画・建設路線で、新北捷運公司が運営しています。

運行系統

松山線の開通に合わせて、イメージカラーの路線ごとに新しい運行系統が開始され、路線番号が付けられました。松山線は小南門線と新店線と相互直通運転を行い、松山 - 新店間と松山 - 台電大楼間の区間運転列車が運行されています。

2014年11月14日までは、淡水線、信義線、新店線が相互直通運転を行っており、淡水 - 新店間と北投 - 象山間の列車が交互に運転されていました。小南門線は新店線と台電大楼まで直通運転していました。中和線、新荘線、蘆洲線は、南勢角発着で迴龍方面と蘆洲方面の列車が交互に運転されていました。文山線は内湖線の開業に伴い、文山内湖線として直通運転となりました。それ以外の路線（新北投支線、小碧潭支線）は線内を往復していました。

車両

中運量型にはゴムタイヤ式のVAL256型とC370型、鉄輪式のドライバーレスメトロ（導入予定）とメトロポリス（導入予定）があります。高運量型にはC301型、C321型、C341型、C371型、C381型があり、それぞれ製造元や運用路線が異なります。

運賃

運賃はニュー台湾ドル（NT$）で、券売機は12言語に対応しています。ICカード（悠遊卡、一卡通、有錢卡、愛金卡）に対応しており、残高不足でも改札を通れますが、マイナス残高になるとチャージするまでロックされます。2020年1月末に一律20%のIC割引が廃止され、代わりに月間利用回数に応じた割引が導入されました。高齢者や障害者向けの割引、バスとの乗継割引は引き続き適用されます。6歳未満または115cm以下の子供は、運賃を支払う旅客と同伴する場合のみ4人まで無料です。満6歳以上12歳未満（かつ身長150cm以下）、障害者、65歳以上の高齢者は優待カードを利用できます。台北市に籍を置く小学生は、学生証に40%割引機能が付与されます。新北市では、割引幅の大きい半額となる「新北児童卡」が発行されています。

利用回数割引

2020年2月1日より、月間利用回数に応じた割引制度が導入されました。月間11回以上の利用で割引が適用され、31回以上で一律20%割引と同等の割引率になります。キャッシュバックは6ヶ月間有効です。

定期運賃

2018年4月から「1280元月票」が販売され、台北捷運、新北捷運、両市の公車、YouBike（最初の30分無料）が乗り放題となりました。2023年7月1日からは、交通部主導の「TPASS行政院通勤月票」に移行し、基隆市、桃園市も対象エリアに加わり、桃園捷運、台鉄、国道客運も利用可能となります。

フリーパス類

1日フリー切符や24/48/72時間フリー切符、観光パス（北北基好玩卡）などが販売されています。猫空ゴンドラワンデーパスや、桃園機場捷運とのセット券もあります。土日祝日限定で、サイクルトレインも利用できます。

歴史

台北捷運は、1996年の最初の路線開業以来、市民の足として重要な役割を果たしています。

今後の開業予定

現在も路線の拡張工事が続けられており、今後もさらなる利便性の向上が期待されます。

運営状況

開業以来、運輸事業単体では赤字が続いていますが、広告や小売などの関連事業の黒字でカバーされています。

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