円山町 (北海道)

円山町の歴史：札幌発展を支えた地域の変遷

円山町は、現在の札幌市中央区、南区、西区の一部に位置する地域です。その歴史は、明治時代初期、札幌神社（現在の北海道神宮）の建立に遡ります。1871年（明治4年）、京都の円山をモデルに命名されたこの地は、それ以前は、石狩川支流の琴似川上流域に位置する円山山麓に開拓された庚午三ノ村でした。酒田県（現在の山形県）からの入植者たちが、この地に新たな生活を築き始めたのです。

明治3年、30戸90人の農民が移住し、庚午三ノ村が誕生しました。翌年には、この村は円山村と改称され、同時に札幌神社が移築されました。これは、円山町の歴史における重要な転換点と言えるでしょう。その後、1874年には山鼻村が開村し、円山村と並んで発展していきます。

両村の行政は当初、山鼻村の戸長宅に置かれていましたが、その後、山鼻簡易小学校に移転し、明治23年には独立した庁舎が建設されました。明治13年には、開拓使によって円山養樹園が設置され、これが現在の円山公園の礎となりました。この頃より、近隣農家による朝市も始まり、地域の活気が高まっていきました。

明治39年、円山村と山鼻村は合併し、藻岩村となります。翌年には北海道二級町村制が施行され、正式に札幌郡藻岩村として発足。その後、明治43年には、山鼻村の一部が札幌区に編入され、札幌区字山鼻町となりました。藻岩村の役場は、現在の南1条西24丁目付近に移転しました。

大正2年には、上田万平氏により円山に登山道が整備され、自然へのアクセスが向上しました。昭和13年には、一級町村制の施行に伴い、円山町となりました。この際、2大字を廃止し、大字円山村は字円山、大字山鼻村は山鼻、八垂別、白川の3字に再編されました。そして昭和16年、円山町は札幌市に編入され、円山町の歴史は一つの区切りを迎えました。

人口推移を見ると、明治13年には山鼻村1,135人、円山村235人でしたが、昭和15年には16,724人にまで増加しました。これは、円山町が農村から都市へと変貌を遂げたことを示しています。

円山町の発展には、多くの村長・町長が貢献しました。初代藻岩村長の中川寅三氏をはじめ、御子柴五百彦氏、吉田新也氏、桜井秀夫氏、佐藤正三郎氏、古瀬猛二氏、相馬徳三郎氏、そして最後の円山町長である飯田識一氏まで、それぞれの時代を担った指導者たちの尽力によって円山町は発展を遂げました。

円山町の歴史は、開拓時代の苦労と、都市化への移行、そして札幌市の一員としての発展という、北海道の歴史そのものを反映しています。円山公園を始めとする自然環境と、都市としての機能が調和した現在の円山地区の姿は、この豊かな歴史の積み重ねの上に成り立っていると言えるでしょう。

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