札幌郡

札幌郡の歴史：古代から現代まで

札幌郡は、北海道石狩国に存在した郡です。現在の札幌市の大部分、北広島市、そして江別市の一部を含む広大な地域をその領域としていました。その歴史は古く、古代から現代まで、幾多の変遷を遂げてきました。

古代の足跡

飛鳥時代から平安時代初期にかけて、現在の江別市周辺には江別古墳群が築造されました。出土した須恵器などの副葬品や古墳の構造から、この古墳群は日本最北の古墳群の一つであると考えられています。この発見は、この地域に古くから人々が居住していたことを示す重要な証拠となっています。また、斉明天皇の時代に阿倍比羅夫が蝦夷を討伐した際に、この地域に郡領を置いたという説もあります。

江戸時代の交易拠点

江戸時代、札幌郡域は西蝦夷地に属し、松前藩によって石狩十三場所のうちの八場所が開設されました。これらの場所では交易が盛んに行われ、藩の重要な拠点として機能していました。住民に対する施策として、オムシャ（扶助）も行われていたようです。ハッシャブ場所、シノロ場所、ナイホウ場所、上サッポロ場所、下サッポロ場所、上ツイシカリ場所、下ツイシカリ場所など、様々な場所が設置され、石狩川や豊平川流域を中心に経済活動が展開されていました。江戸時代後期には国防上の理由から公儀御料となり、幕府の直轄地となりましたが、その後再び松前藩領となり、庄内藩が警固にあたる時期もありました。この時代には、篠路神社や発寒神社の前身となる社殿が創建され、また西本願寺札幌出張所や本龍寺などの寺院も建立されました。さらに、小樽から千歳に至る札幌越新道が開削され、交通網の発展にも貢献しました。慶応年間には、美泉定山によって定山渓温泉が開かれ、札幌元村が開村され、大友掘（後の創成川）が開削されるなど、新たな開発が進みました。

明治以降の変遷

明治2年、北海道で国郡里制が施行され、石狩国と札幌郡が正式に設置されました。その後、札幌郡は開拓使、札幌県、北海道庁の管轄下で、幾度もの行政区域の変更を経て、数多くの村や町が誕生しました。札幌新村、庚午一ノ村、庚午二ノ村、庚午三ノ村、発寒村、望月寒村（後の白石村）、対雁村、琴似村、平岸村、月寒村、苗穂村、丘珠村など、多くの村が成立し、合併や改称を繰り返しながら発展していきました。明治35年には、北海道二級町村制が施行され、豊平村、札幌村、手稲村、白石村、広島村が誕生しました。その後、明治40年には豊平村が町制施行、大正5年には江別村が町制施行、大正10年には広島村が一級町村制を施行するなど、町村制の施行により、行政機構が整備されていきました。昭和16年には円山町が札幌市に編入、昭和25年には白石村が札幌市に編入、昭和29年には江別町が市制施行、昭和30年には札幌村、篠路村、琴似町が札幌市に編入など、札幌市への編入が相次ぎました。昭和36年には豊平町が、昭和42年には手稲町が札幌市に編入されました。昭和43年には広島村が町制施行して広島町となり、平成8年には広島町が市制施行し、北広島市となりました。この時、札幌郡は消滅しました。

まとめ

札幌郡の歴史は、古代の遺跡から始まり、江戸時代の交易拠点、明治以降の町村制施行、そして札幌市の発展へと続く、長く複雑な歴史です。その過程で、多くの村や町が誕生し、合併や改称を繰り返しながら、現在の札幌市へとつながっています。この地域の歴史を知る上で、札幌郡の歴史は重要な要素となっています。

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