円盤ライダー

円盤ライダー（えんばんライダー）は、日本の演劇パフォーマンスユニットとして知られています。俳優である渡部将之が初代ライダーとして代表を務め、「役者がいる所が舞台だ！」という力強いメッセージをモットーに、2006年にその旗を掲げました。彼らの活動の根幹にあるのは、従来の劇場空間に限定されない演劇の追求です。

バーやギャラリー、カフェといった日常的な空間や、時には想像もつかないような特殊な場所を舞台に変え、そこでオリジナルの演劇作品を創り上げ、観客に届けます。このスタイルは、観客と演者の物理的な距離を縮め、より身近で、時には予想外の角度から作品世界への没入感を生み出す、円盤ライダーならではのユニークな観劇体験を提供しています。

主な活動拠点は日本の首都・東京ですが、彼らの情熱は国内各地へと広がっています。2008年以降は大阪や名古屋など、地方都市でも積極的に公演を開催し、ファン層を拡大しています。特に代表の渡部将之は、自身の出身地である愛知県において、株式会社東山遊園や星が丘フリンジといった組織を立ち上げ、運営に携わるなど、地域に根差した演劇および文化の振興にも力を注いでいます。

2009年からは、外部の才能豊かな脚本家や演出家との共同制作によるプロデュース公演も行うようになりました。これにより、ユニット内部の創造性だけでなく、多様な視点や表現を取り入れ、作品の幅を一層広げています。劇場ではない独自の会場を使用しながらも、これらのプロデュース公演では年間約1000人もの観客を動員し続けており、非劇場型演劇としての確かな存在感を示しています。

円盤ライダーは、演劇の可能性を広げるための挑戦的な取り組みを数多く行ってきました。2017年から2020年初頭にかけては、日本に寄港する大型客船「ダイヤモンド・プリンセス号」船内での定期的な公演を実現。これは演劇の舞台を文字通り洋上へという、他に類を見ない試みでした。しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより、残念ながら船内での集団感染が発生し、以降の船上公演は全て中止となりました。

コロナ禍という困難な状況下でも、彼らは立ち止まりませんでした。感染拡大を防ぎつつ演劇を提供するための全く新しい観劇スタイルとして、【ドライブインステージ】を発案しました。これは、観客が車に乗ったまま、屋外に設営された舞台を鑑賞するという革新的な試みであり、2020年10月19日付の『中日新聞』夕刊で一面トップとして紹介されるなど、メディアからも高い関心を集めました。この発案は、厳しい状況下における演劇界の新しい方向性を示すものとして注目されました。

また、2020年に開催された東京パラリンピックの閉会式では、代表の渡部将之とユニットメンバーの賢茂エイジがパフォーマーとして出演しました。これは、彼らの表現力やパフォーマンススキルが国際的な舞台でも評価された証であり、演劇という枠を超えた彼らの活動の広がりを示唆しています。

これまで円盤ライダーが上演した作品は、旗揚げ公演であるvol.1「SHAKEな夜」から始まり、vol.37に至る本公演シリーズの他、観客参加型の円盤ライダーRPGシリーズ、外伝、他の団体との共同プロデュースなど、非常に多岐にわたります。作品創作には、菅野臣太朗氏、村井雄氏、御笠ノ忠次氏、西田シャトナー氏、ばんたくや氏といった、様々なバックグラウンドを持つ脚本家や演出家が関わっており、これにより円盤ライダーの作品は常に新鮮で多様な魅力を放っています。

現在、ユニットは代表の渡部将之を中心に、俳優の賢茂エイジ、森田和正らがメンバーとして活動を共にしています。

円盤ライダーは、「役者がいる所が舞台だ！」という設立当初からの理念を胸に、既成概念に捉われず、常に演劇の新しい形や可能性を追求し続けています。彼らの活動は、非日常的な空間での上演、困難な状況下での革新的な試みなど、常に観客に驚きと感動を与えることを目指しており、日本の演劇シーンにおいて独自の存在感を放つパフォーマンスユニットと言えるでしょう。

もう一度検索