円蔵寺

円蔵寺：会津柳津の歴史と文化が息づく霊場

円蔵寺は、福島県河沼郡柳津町にある臨済宗妙心寺派の寺院で、霊巌山を山号としています。本尊は虚空蔵菩薩で、「柳津虚空蔵」として広く知られ、茨城県の村松山虚空蔵堂、三重県の金剛證寺とともに日本三大虚空蔵の一つに数えられています。また、「福満虚空蔵」とも呼ばれ、地元の人々から深く信仰されています。毎年1月7日には、奇祭として知られる七日堂裸まいりが行われ、多くの参拝客で賑わいます。

歴史

寺の創建年代については諸説ありますが、縁起によれば807年（大同2年）に空海が作ったとされる虚空蔵菩薩を安置するため、徳一が虚空蔵堂を建立したのが始まりとされています。円蔵寺は、その虚空蔵堂の別当寺として建立されたと伝えられています。南北朝時代の至徳年間（1384年～1387年）に臨済宗に改められ、江戸時代には一時真言宗に属しましたが、1627年（寛永4年）に再び臨済宗に復帰しました。

奥之院弁天堂は室町時代の建立で、国の重要文化財に指定されています。なお、奥之院は円蔵寺とは別の宗教法人となっています。

文化財

重要文化財（国指定）

奥之院弁天堂

福満虚空蔵尊伝説

毒もみ漁伝説

江戸時代初期の慶長年間、当時の会津藩主であった蒲生秀行が柳津の只見川に遊びに来た際、魚を大量に獲ろうと考え、上流の出倉付近から胡桃の皮、山椒、渋柿などを200人に背負わせて大量に川に流し込みました。多くの魚が浮き上がり、秀行はそれを喜んで見ていたと言われています。付近の住民は「こんな殺生なことをして虚空蔵さまの撥でも当たらないといいが」と噂していました。その翌年、1611年に会津地震が発生し、M6.9とも言われる地震によって円蔵寺の舞台は只見川に崩れ落ち、若松城の天守も大きく傾き、石垣も崩壊しました。心労が重なったのか、秀行は翌年謎の死を遂げました。しかし、徳一が虚空蔵菩薩を刻んだ時の木片の化身と言われた魚渕のウグイは一尾も死ななかったとされ、今も魚渕には大量の銀鱗を見ることができます。

おぼだき観音伝説

江戸時代の元禄年間、会津の高田の袖山に住む五代目馬場久左衛門という信心深い人物が、福満虚空蔵尊を深く信仰していました。ある時、五穀豊穣と子孫繁栄を祈願し、福満虚空蔵尊に丑の刻参りをしていました。満願の夜、身支度を整え袖山から高田を経て八反道、旧柳津街道を進み、最後の早坂峠に差し掛かった時、漆黒の闇の中、辺りがぼうっと明るくなり、赤子を抱いた女性に出会います。女性は久左衛門に「旅の方、ちょうど良い。私はこの子の世話で長い間髪を結う暇もありませんでした。しばらくこの子を預かってはくれませんか？髪を結う間、この子を泣かせずにあやしてくれたら褒美を授けましょう。さもなくば…」と言いました。平地2里、山道3里の道中で、ましてやこの時間帯、魔性の女であることを確信した久左衛門は、古老から聞かされたことを思い出し、喉を噛まれないように赤子に目を合わせず外向きに受け取ると、自分の羽織の紐を赤子の顔の前に垂らしてあやしました。この羽織の紐は左右の長さが違っていたのですが、赤子は紐の先端を合わせようと夢中で引っ張り続けていました。やがて東の空が白み始め一番鶏が鳴き始める頃、やっと女性の髪結いが終わり、「よくぞ、この子を泣かせずあやしてくれました。大変お世話になりました」と言うと、女性は消え去り、久左衛門の手には赤子の代わりに金の重ね餅が握られていました。これを持ち帰り、代々大事に取り扱ったところ、大分限者（長者）になったと言われています。久左衛門は後に早坂峠（現在の柳津森林公園）におぼ抱き観音を祀りました。

アクセス

JR只見線会津柳津駅から徒歩10分

参考文献

柳津町誌　総説編p229,239-241

関連項目

赤べこ
粟饅頭

外部リンク

会津寺社仏閣 会津六詣出
* 柳津町

もう一度検索