再使用

再使用：循環型社会の要

再使用とは、一度使用された製品やその部品を、原料に戻すことなく、製品や部品としてそのまま、もしくは修理などを施して使い続けることです。リユース(Reuse)とも呼ばれ、家族間での物のお下がりや地域のバザーなど、小規模なレベルでは古くから行われてきました。しかし、現代社会における資源枯渇や環境問題への懸念から、より本格的な循環型社会の構築に向け、社会全体での再使用の流れを整備することが急務となっています。

再使用の背景と現状

現代社会は、資源の枯渇、廃棄物処理コストの増大、資源開発に伴う環境破壊など、深刻な問題を抱えています。こうした状況を踏まえ、製品を安易に廃棄するのではなく、再使用やリサイクルを通じて資源を循環させる循環型社会の形成が強く求められています。

かつては、製品が高価で容易に買い替えができなかったり、製品構造がシンプルで分かりやすかった時代には、壊れた製品を修理して使い続けることが一般的でした。しかし、工業製品の安価な大量生産、機械化・複雑化の進展に伴い、修理よりも新しい製品を購入する風潮が強まりました。特に、修理コストが製品価格に比べて高くなる先進国では、この傾向が顕著です。さらに、修理対象が技術革新の早い製品や価値の低い古物である場合、修理のコストパフォーマンスが悪くなりやすいことも要因として挙げられます。

法律上の定義と用語の整理

循環型社会形成推進基本法では、「再使用」を以下の2点で定義しています。

1. 循環資源を製品としてそのまま使用すること（修理を含む）
2. 循環資源の全部または一部を、部品や製品の一部として使用すること

「再使用」という表現は、2000年の同法制定以降、正式に用いられるようになりました。それ以前は「再利用」が一般的でしたが、再利用には再使用とリサイクルの両方の概念が含まれるため、より厳密な表現として「再使用」が採用されました。しかし現在でも「再利用」が使われることは少なくありません。同様に、「リサイクルショップ」は厳密には「リユースショップ」ですが、近年では後者の名称を使う傾向が高まっています。

再使用の形態と業態

再使用には様々な形態や業態が存在します。

リサイクルショップ（リユースショップ）

バブル経済崩壊後の倹約ブームを背景に、中古製品を売買するリサイクルショップ（リユースショップ）が急増しました。しかし、中には粗悪な修理で製品を販売する悪徳業者も存在し、業界全体の信用を失墜させた時期もありました。家電リサイクル法の制定などにより、状況は改善されましたが、依然として中古品の品質や安全性に対する懸念は残ります。現在、日本リユース機構(JRO)、日本リユース業協会(JRAA)、ジャパンリサイクルアソシエーション(JRCA)といった業界団体が活動しています。

オークション・ネットリユース

インターネットの発展により、古物商を介した通信販売に加え、個人間のインターネットオークションやフリマアプリなどを利用した中古品の売買が盛んになりました。特にフリマアプリの普及は、個人間での大型家具や家電の再使用を促進しました。

輸出

中古製品は海外に輸出される場合もあります。特に、発展途上国では修理技術が発達しており、先進国で廃棄された製品を修理して再利用する文化があります。

各国の再使用文化

各国における再使用文化は、経済状況、社会通念、国民性などによって大きく異なります。

日本

資源の少ない日本では古くから「もったいない」精神に基づいた再使用文化が根付いていました。風呂敷や、修理して使い続ける習慣などはその典型です。戦中・戦後の物資不足もこの文化形成に影響を与えたと考えられています。近年では、循環型社会への移行が社会的に求められる一方、経済界からは消費減退を懸念する声もあります。また、自動車税の増税などは、長期使用や再使用の阻害要因となっています。さらに、電気用品安全法の規制とその後の改正についても、中古家電市場に大きな影響を与えました。

欧米

欧米では、産業革命以降、大量生産・大量消費が社会の基盤となっています。そのため、「物を大切にする」という意識は薄れ、大量のゴミを排出する文化が定着しました。しかし、近年ではアンティークに対する関心の高まりや、古い工業製品の意匠の再評価などから、再使用への意識が高まっています。

工業後発国・経済後進国

工業後発国や経済後進国では、製品の価格が高いため、修理して使い続ける文化が根強く残っています。一方で、先進国から廃棄された製品を輸入して修理・再利用する市場も発展しています。経済状況によっては、ゴミの再利用が重要な生計手段となるケースも見られます。しかし、環境衛生や労働者の健康問題といった課題も存在します。

再使用されている主な物品

再使用されている物品は多岐に渡ります。蓄電池、古着、楽器、古本、スポーツ用品、建物関連（中古住宅、家具、店舗設備）、機械類（カメラ、工作機械、家電製品、パソコンなど）、兵器、乗り物（船舶、航空機、自動車、鉄道車両）、パッケージ類（ガラス瓶、レジ[[袋]]など）などが挙げられます。

まとめ

再使用は、循環型社会の実現に不可欠な要素です。今後、技術革新や社会制度の整備によって、より効率的で安全な再使用システムの構築が期待されます。また、消費者の意識改革や、企業による再使用促進への取り組みも重要です。

もう一度検索