再建国民運動

再建国民運動の概要

再建国民運動（さいけんこくみんうんどう）とは、5・16軍事クーデターによって成立した朴正煕少将が主導する軍事政権、いわゆる国家再建最高会議の下で展開された国民運動です。この運動の主な目的は国民福祉を推進し、国民道義の再建を図ることでした。

発足の背景と組織構成

1961年5月、軍事クーデターから1年後に最高会議の下部機関として再建国民運動本部が設立されました。この本部には高麗大学校の総長である兪鎮午（ユ・ジノ）が本部長に任命され、さまざまな民間団体や著名な言論人、教育者、芸能人、宗教家などが指導的な役割を果たしました。

運動の目標

再建国民運動には複数の具体的な目標が掲げられました。これには以下のような内容が含まれます。

• - 耐乏生活の実践: 資源の有効利用と、勤勉さをもって質素な生活を送ること。
• - 勤勉精神の鼓吹: 労働を尊重し、国民全体が努力することで国を再建しようとする意識を高める。
• - 生産と建設意欲の増加: 国家の発展に向けて個々の生産活動や建設に対する意欲を喚起する。
• - 国民道義の高揚: 道徳的価値観を再確認し、国民全体をより良い方向へ導くこと。
• - 秩序観念の純化: 社会の秩序や規律を重視し、健全な社会の実現を図る。
• - 国民体力の向上: 健康で活力ある国民を育むために、教育やスポーツの振興を図る。

運動は全国の市、邑、面といった単位に支部を設置し、各家庭から最低1名が運動に参加するよう促されました。こうした政策の背景には、政府からの強制的な動きもあり、運動は急速に拡大しました。1963年には会員数が390万を超えるまでになりました。

活動の行方

しかし、発足から3ヶ月ほど経過した時、本部長の兪鎮午は再建国民運動が「全体主義的」との見解を示し、辞任する事態となりました。この辞任以降、一般市民の運動への関心や参加は低下し、運動は徐々に終息の方向へ向かいました。最終的に、1964年7月に運動本部は社団法人再建国家国民中央会として再発足しましたが、短い期間で再び廃止されてしまいました。

政治的影響

再建国民運動は、単に国民意識の啓発にとどまらず、軍事政権が民政移管を進めるにあたり、民主共和党という新たな政党の形成にも寄与しました。このように、運動は時代背景と密接に関連しながら、韓国の政治社会の中で重要な役割を果たしました。

この運動は韓国歴史の中で重要な位置を占め、国民の意識や社会の在り方に深い影響を与えたことは間違いありません。

もう一度検索