冥王星型天体

冥王星型天体とは

冥王星型天体（Plutoid）とは、太陽系外縁天体に属する準惑星の一種です。これは、国際天文学連合（IAU）が2006年に決定した惑星の定義に関連して定められた天体の区分です。具体的には、以下の条件を満たす天体を指します。

太陽を周回する天体であること。
軌道長半径が海王星のそれよりも大きいこと。
自身の重力によって静水圧平衡（ほぼ球形）であること。
軌道近くから他の天体を排除していないこと。

この定義から、冥王星型天体は準惑星であり、同時に太陽系外縁天体であるという二つのカテゴリーに属すると考えられます。2008年の時点では、冥王星、エリス、マケマケ、ハウメアの4天体が冥王星型天体として分類されていますが、さらに多くの天体がその候補として挙げられています。

用語の歴史

2006年8月、IAUは惑星の定義を決定し、その結果、冥王星は惑星から準惑星に分類が変更されました。この際、新しい分類の名称として「pluton」や「plutonian object」といった案が提唱されましたが、前者は地質学用語として既に存在していたため却下され、後者も総会での賛成を得られず否決されました。

当初、この区分は、太陽を200年以上かけて周回する準惑星であり、軌道が大きく傾いているものを指すという定義案が出されました。しかし、準惑星を惑星とは別のカテゴリに分類する対案が提唱された後、この区分は太陽系外縁天体の条件を満たす準惑星として、「冥王星様」の天体と定義されるようになりました。

日本語名称については、日本学術会議が検討した結果、「冥王星型天体」という名称が推奨されました。その後、IAUは「plutoid」という名称を採用し、2008年6[[月11日]]に正式に決定されました。この時、「すべての太陽系外縁天体に属する準惑星は冥王星型天体である」という定義も発表されました。

冥王星型天体の命名プロセス

準惑星の定義が定められた際、IAUのどの部署が準惑星の命名を担当するかが問題となりました。当初、エリスは小[[惑星]]の命名法に基づいて命名されましたが、2008年6[[月11日]]、IAUは「冥王星型天体」の名称と共に、新しい冥王星型天体の命名は2つの部署が協力して行う制度を発表しました。これにより、発見者に名称提案の優先権が与えられ、かつ他の太陽系小天体との重複が避けられるようになりました。

準惑星の定義に関する混乱

2006年のIAU総会では、ケレス、エリス、冥王星が準惑星の初期メンバーとして規定されましたが、静水圧平衡の程度をどのように測るかの厳密な規定は未定義のままでした。準惑星の下限の大きさを定める公式な計算手法がないため、他の天体を自動的に準惑星に加えることができない状況にありました。

そのため、IAUは命名に際し、以下の条件を満たす天体を冥王星型天体として命名することにしました。

軌道長半径が海王星のそれを超えること。
絶対等級がH=+1度よりも明るいこと。

この条件を満たす下限の天体は、直径が約838キロメートルと推定されます。ただし、この条件を満たす天体が必ずしも静水圧平衡であるとは限りません。IAUは、命名された天体が静水圧平衡でないと判明した場合、再分類を行うものの、名称は変更しないとしています。

絶対等級の観点からは、水星と同程度の明るさを持つ天体も存在しますが、冥王星型天体の定義は絶対等級だけで決定されるものではありません。例えば、ケレスは冥王星型天体ではありませんが、絶対等級は暗く、他の準惑星よりも劣ります。

日本学術会議は、準惑星の定義に一定以上の直径を持つことを加えることを検討するようIAUに提案しました。

公式な冥王星型天体

現在、以下の4つの準惑星が冥王星型天体として分類されています。

冥王星
エリス
マケマケ
ハウメア

冥王星型天体の候補

太陽系外縁天体の多くは氷のコアを持つと考えられており、直径が約400キロメートル程度あれば、重力平衡によって球形となり、準惑星とみなせると考えられています。2006年の時点では、直径は概算でしか得られていませんでしたが、さらに42の太陽系外縁天体が準惑星となる可能性が示唆されていました。その後、マケマケとハウメアが冥王星型天体として認められました。

また、冥王星の衛星カロンは、二重天体とされることもありますが、冥王星型天体の候補には含まれていません。

まとめ

冥王星型天体は、太陽系外縁部に位置する準惑星であり、その定義や分類は、天文学の発展とともに変化してきました。今後も、新たな発見や研究によって、この分類に加わる天体が増える可能性があります。

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