出入橋駅

阪神電気鉄道 出入橋駅：近代都市開発と鉄道史を語る廃駅

大阪市北区梅田に存在した、阪神電気鉄道本線の出入橋駅。1905年の阪神電気鉄道開業と共に誕生したこの駅は、日本の都市間電車運行の黎明期を象徴する存在でした。しかし、わずか43年の歴史に幕を閉じ、現在は西梅田公園としてその面影を偲ぶのみとなっています。

開業から梅田延伸へ

1905年4月、阪神電気鉄道は大阪と神戸を結ぶ日本初の都市間電車の運行を開始しました。その大阪側のターミナル駅として開業したのが出入橋駅です。駅名は、梅田入堀川（堂島堀割川）に架かる出入橋に由来しています。当時、対岸には国鉄大阪駅がありましたが、大阪駅の移転工事が既に進行しており、同年7月には現在の場所（東梅田町寄り）に移転が完了しました。このため、出入橋駅と新しい大阪駅の間には約700mの距離ができてしまいました。

開業時の出入橋駅は、路面電車扱いであったため、プラットホームは簡素なものでした。乗車場と降車場は梅田寄りと神戸寄りに分けられ、その間に分岐器が設置されていました。しかし、駅全体を覆う大きな鉄骨製の屋根が設置されていたのは、当時の技術力の高さを示すと言えるでしょう。

しかし、都市部の一端にあったこの駅は、乗客を集めるのに苦労しました。阪神は大阪駅前への延伸を繰り返し申請し、1906年に仮線名目で梅田側に400m延伸。1914年には複線化と梅田駅の完成によって、出入橋駅は中間駅となりました。

廃駅とその後

1948年、梅田駅や福島駅への近接が高速運転の妨げになると判断され、出入橋駅は廃駅となりました。これは、戦後まもなく休止されていた福島駅の営業再開と引き換えの措置でした。

廃駅後は、跡地は公園として整備され、現在は西梅田公園として市民に親しまれています。公園を訪れる際には、かつてこの地に存在した活気ある駅舎と、近代都市開発の中で変化していく鉄道の姿を想像してみて下さい。

出入橋駅の概要

所在地: 大阪府大阪市北区西梅田町（現・梅田2丁目）
所属路線: 阪神電気鉄道本線
開業: 1905年（明治38年）4月12日
廃止: 1948年（昭和23年）10月26日
* 隣の駅: 梅田駅 - 出入橋駅 - 福島駅

まとめ

出入橋駅は、短いながらも近代日本の鉄道史、都市開発史において重要な役割を果たした駅でした。その存在は、日本の鉄道の進化と都市の変遷を物語る貴重な証左であり、現在西梅田公園として新たな姿で人々の生活を支えています。廃駅となった現在でも、その歴史的意義は色褪せることなく、人々の記憶に刻まれ続けています。

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