出場給

出場給とは：プロスポーツ選手の報酬体系

出場給とは、プロスポーツにおいて、選手が試合に出場したことに対して支払われる報酬のことです。これは、年俸や賞金とは別に支払われるもので、試合給とも呼ばれます。競技によっては、年俸などを1試合あたりの金額に換算して出場給とする場合もあります。格闘技においては、同様の概念として「ファイトマネー」という言葉が用いられます。

各競技における出場給の形態

プロサッカー

プロサッカーでは、統一契約書に基づいて、基本給、出場給、特別給という形で報酬が支給されます。出場給は、まず総額が決定され、それを試合数で割って算出されます。全試合に出場することで満額を受け取ることができ、試合に勝利した場合には勝利給（特別給）が上乗せされます。

日本においては、アマチュア契約の選手にも出場給を支給することが認められていますが、その場合、B・C契約やアマチュア契約の選手への支給額は5万円以下でなければなりません。ただし、出場給を設定するかどうかは各クラブの判断に委ねられており、クラブによっては出場給を設定していない場合もあります。

プロボクシング

プロボクシングの世界では、ファイトマネーは入場料、広告料、放映権料などの収入から、公式戦認定料、会場使用料、諸経費を差し引いた残りの金額を、主催するプロモーターが分配する形で決定されます。ファイトマネーの金額は、選手のクラス（A・B・C級）によって大きく異なり、A級選手であっても、人気、集客力、防衛回数などによって、数十万円から1億円以上まで大きな差があります。

無名選手の場合、ファイトマネーが現金ではなくチケットで支払われることもあります。チケットを手売りすることで、選手は追加の収入を得ることができますが、売れ残った場合は無報酬、あるいは赤字となることもあります。ファイトマネーの下限は6万円と定められており、C級選手は一部の例外を除き、この金額で固定されています。

タイトルマッチの場合、王者と挑戦者でファイトマネーに大きな差が生じることがあります。また、プロモーターの都合により、ノンタイトル戦であっても対戦する両者の間で金額に差が設けられることがあります。体重超過などの契約違反や、試合中の悪質な反則行為があった場合には、ファイトマネーが減額または没収されることもあります。

正規のファイトマネー以外にも、選手個人の後援者やファンから贈られる「激励賞」や、勝利した場合に支給される「勝利者賞」、ノックアウト勝利の場合に支給される「ノックアウト賞」などが設定されることがあります。

日本では、ファイトマネーの33%を上限とするマネージメント料を、マネージャー（所属ジム）に支払うという決まりがあります。チケットで報酬を受け取る選手の場合、売れ残ったチケットの枚数によっては無報酬となることもあり、無名のプロボクサーの経済状況は非常に厳しいものとなっています。

副業が禁止されている職業（公務員など）に就いている場合、ファイトマネーを受け取ることができないこともあります。その場合、ファイトマネーはマネージメント料などの経費に充てられます。また、世界戦であっても、対戦相手のコストが高すぎるために、ファイトマネーがゼロとなる事例も存在します。

エキシビションの場合、コミッションが公認する試合ではないため、正式なファイトマネーの対象外となります。

競馬

競馬の騎手には、出走ごとに騎乗手当と呼ばれる報酬が支払われます。さらに、5着までに入着すると、進上金（競走のグレードにより賞金の5～7％）が上乗せされます。

プロレス

日本のプロレスラーの報酬は、所属団体によって形式や金額が大きく異なります。年間契約・年俸制で給与が支給される場合と、1試合ごとの報酬が設定され、興行終了後、あるいは巡業終了後にファイトマネーが支給される場合があります。

最近では、中堅・小規模団体を中心に、選手自らが出場する興行のチケットを手売りし、その売上金の一部を報酬として受け取る形式も増えています。特に小規模団体において、チケットを多く売り捌ける選手は貴重な存在であり、プロレスラーとしての最低基準に満たない選手でも、チケット販売を条件に試合に出場できるケースもあります。

海外から来日した外国人選手の場合は、1試合ごと、あるいは巡業参加1週間ごとの報酬が設定され、支給されるのが一般的です。

出場給は、プロスポーツ選手の収入源として重要な役割を果たしています。競技や団体によってその形態は異なりますが、選手のモチベーションを高め、質の高いパフォーマンスを引き出すための重要な要素であると言えるでしょう。

関連項目

給与
懸賞金
* 懸賞 (相撲)

もう一度検索